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おぢばにおかえり
40部分:第六話 レポートその九
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ね」
「またそれは変わった血ね」
 そんなものがあるだけでびっくりです。
「僕だけだろうね、それは」
「そうでしょ、幾ら何でも」
 そういえば天理高校でもここまでの近鉄ファンは他にいません。制服の下にどうやって作ったのか知らないですけれど三色のユニフォーム着てたこともあります。確か番号は二十だったような。それをえらく自慢していたのを覚えています。
「今時あの三色のユニフォーム着ている人なんて知らないわよ」
「あの帽子も今でも持ってるよ」
 新一君はまた笑顔で言います。
「やっぱりあの帽子だよね」
「私は縦縞だから別に」
 阪神の帽子が一番じゃないかなって思っています。やっぱりファンですし。
「あの帽子って女の子にも似合うし」
「そうなの」
 これは初耳でした。新一君の勝手な解釈でしょうけれど。
「小さな女の子にもね」
「そういうことね」 
 私に目を向けてきたので成程と思いました。
「けれど。本当に小さな女の人多い場所だと思うんだけれど」
「全国から集まるのに」
「やっぱりあれかな」
 新一君はふとあることに気付いたような顔を私に見せてきました。そうして言います。
「親神様も教祖も小柄な女の子がお好きなのかな」
「そんなの聞いてないわよ」
 これも初耳です。そんなことは教典にも書かれていないことですしそもそも天理教は人の容姿は一切問題にしない宗教ですけれど。
「それはないわよ、絶対に」
「そうかな。それにしても」
「第一新一君大きいし」
 これもまずあるんじゃないかなって思います。大きい人から見れば誰だって小さく見えます。そりゃ私は小さいですけれどね。自覚しています。
「それもあるんじゃないの?」
「いや、だってさ」
 また私を見ての言葉です。
「それでも先輩を最初見た時はそりゃ」
「ええ、覚えてるわよ」
 絶対に忘れません、あの時のことは。
「何が何でもね」
「そうなんだ、そんなに」
「全く。最初から失礼だったんだから」
 勝手ながらこれから高校の時のことをお話します。卒業したのはほんの少し前だったのに凄く大昔に思えるんですけれど。今からお話しますね。



第六話   完


                 2007・10・29

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