第5章:幽世と魔導師
第153話「神降しの敗北」
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神降しが解けても導標は残り続ける。
「優ちゃん!?」
「まず、い……!?」
僕の体から、神降しの影響で気絶している椿が現れる。
「葵!リヒト、シャル!」
「っ、ユニゾン・イン!」
デバイスである葵が対象だからこそできる召喚魔法で葵を呼び寄せる。
同時にリヒトとシャルを再び展開。
呼び寄せた葵とは、すぐにユニゾンし……。
「転移!」
転移魔法で距離を取る。
「まずい……なんてレベルじゃないな……!」
『うん。神降しが解けた今、優ちゃんはまともに打ち合えないよね?』
「少なくとも真正面からは無理だな」
問題はそれだけじゃない。
再度の神降しは不可能で、椿も長く神降しをしていたからか目覚める気配はない。
そして、そんな椿を守りながら僕らは戦わなければならない。
ユニゾンしたのは、少しでも守りやすくするためだ。
これほどの実力差では、片方が時間稼ぎなんて真似は出来ない。
防御や足止めの上からあっさりやられるだろう。
それを阻止するために、少しでも力を上げようとユニゾンしたのだ。
……激しい戦いでの葵とのユニゾンは、これが初めてか。
「神殺しの性質からは逃れられたけど、それを補って余りある実力差だぞ、これ……」
幸いと言えるのは、さっきまでの戦闘で、それなりに守護者の力も削げた事だ。
傷自体が回復されていたとしても、疲労や霊力の消費はそのままだ。
……少しでも、弱っていればいいが。
「それよりも葵、さっきのは何かわかるか?」
『……ううん。霊力を用いた結界なのはわかるけど、どんな効果なのかは……』
「そうか……」
上書きされた結界の基点の術式は、一瞬だけ見た。
その時まで神降し状態だったから、どんな術式かは記憶に焼き付いている。
「(……一言で言えば、従来の簡易的な結界の効果に加え、外界からの力の供給を無効化するものだった。神降しが解けたのも、それが原因か。ユニゾンが可能なのは、結界内で完結している強化だからか)」
無意識な焦りと、守護者の動きが若干鈍かったのは、術式を用意していたからだろう。
“嫌な予感”が強くなったのは、僕が結界を張ったから……。
「っ……!結界をこの短時間で上書きするように術式を書き換えたのか……!」
さすがは最強の陰陽師。
守護者になっても、僕なんかでは遠く及ばない技術を持っているらしい。
「(……本当に、まずいな)」
高速でこちらに近づく気配を察知し、構えながらもそう思う。
……僕も、守護者も、後先考えない戦闘をしていた訳じゃない。
お互いに実力を計り、戦術を練り、後を見据えて戦闘して
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