第5章:幽世と魔導師
第153話「神降しの敗北」
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動く。
身体強化を速度に特化させ、振るう腕を止める。
ちなみに、この速度特化だが、守護者を上回る速度と言えば聞こえはいいが、その分動きが単調になってしまう。だから、ずっと使う訳にはいかない。
「っ、ぁあっ!!」
ギィイイン!!
そして、無理矢理導標を奪取。
即座に転移魔法で反撃を回避。葵の傍に現れる。
そのまま反応して私に振るわれた刀を、導標で防ぐ。
「葵!」
「っ!」
同時に、葵の手を取る。
そして、転移。それも、短距離ではなく長距離。
「っ……!まさか、あそこまでのカウンターをしてくるなんて……!」
「迂闊だったよ……!あの極意をあそこまで極めるなんて……!」
あのカウンター技自体は、葵から聞いた事がある。
何せ、“刹那”に似ているからね。
……でも、その“巧さ”が段違いだった。だから、手痛い反撃を喰らった。
「……腕は大丈夫?」
「繋がってはいるわ。でも、痛みが治まらない」
「そっか……」
神殺しの性質か、それとも瘴気に若干侵されたからか。
どちらにしても、未だに腕が痛む。
それに、導標も瘴気に若干侵されている。
これではまともに打ち合う事も厳しいかもしれない。
「……向こうだってダメージは受けてる。このまま二人でやれば、勝てない事もない」
「……うん」
一見、私がカウンターで大ダメージを受けたように見える。
だけど、傷自体は向こうの方が多い。
回復手段があるとは言え、ダメージによる疲労は治せない。
……このまま、押し切ればこちらの勝ちだ。
「役割はさっきまでと同じ。でも、同じ行動ばかりはダメ」
「分かってるよ」
同じ動きばかりでは、絶対に対処されてしまう。
常に動きを変えなければ、倒しきれないだろう。
「(逃げられる前に倒さないと、被害が増えるわね)」
大門の守護者……つまり妖と化しているとはいえ、霊力に惹かれるとは限らない。
何せ、守護する門から離れてでもどこかへ向かおうとしていたのだ。
……いや、瀬笈葉月の話と私の記憶から、どこへ向かおうとしていたのかは分かる。
逢魔時退魔学園。私と葵、そしてとこよがかつていた学園。
あそこには、様々な思い出がある。
そこへ、彼女は向かおうとしたのだろう。……もう、跡地すらないのに。
「(……結界で隔離……ね)」
そうするべきだろう。
結界の破壊に動かれたら、いとも容易く破られてしまうだろう。
それでも、戦闘の余波による被害は抑えられる。
先ほどまでは戦闘中で張る余裕がなかったけど、今なら。
「行くわよ」
「うん」
どこにいる
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