第5章:幽世と魔導師
第153話「神降しの敗北」
[1/10]
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
=優輝side=
「――――――え?」
―――……一瞬、状況を理解し損ねた。
「か、はっ……!?」
口から血が吐き出される。
視界には、刀を振り切り、掌を突き出した守護者の姿。
……そして、宙を舞う私の左腕が映っていた。
「(そん、な……)」
予想はしていた。想定はしていた。
……ただ、それを上回る“巧さ”だっただけの事。
「ッッ―――!!」
木々を薙ぎ倒しながら、私は吹き飛ばされた勢いを殺す。
何があったかなど、もう理解は出来ていた。
―――“刀極意・先々の先”
「(カウンター……それも、“刹那”レベルの……!)」
そう。私の“終極”が、無効化された上に痛烈なカウンターを返されたのだ。
それこそ、導王流の奥義の一つである“刹那”と同等の強さを誇る業で。
「かふっ……!」
もちろん、守護者の方も無事ではなかった。
拘束する直前のあの一撃が効いていたらしく、吐血していた。
また、四肢も一度貫いたのだ。その傷もある。
「っ……!」
愕然としている暇はない。
即座に葵にアイコンタクトを送り、同時に長細い大きな針を創造。
その針を斬り飛ばされた腕に射出して刺し、こっちへ持ってくる。
「はぁああっ!!」
「っ……!」
腕を繋げるまでの間、葵に時間を稼いでもらう。
本来なら、葵では時間を稼ぐ間もなく押し切られてしまうだろう。
だけど、今は四肢に傷を負い、さらに私の導標も操って動きを妨害している。
これなら、繋げるぐらいの時間は稼げる……!
「(掴まれた!でも……!)」
右手で左手をキャッチ。そのまま断面をくっつける。同時に針は消しておく。
そして、神力で無理矢理治す。
血管や神経なども、神力なら繋がるように治してくれるからね。
それに、どうやら瘴気に若干侵されていたようで、それも浄化してくれた。
「っ!」
―――“撃”
既に、妨害に使っていた導標は守護者の手に掴まれてしまった。
……当然だ。妨害するとはいえ、飛び回る程度の武器を、掴めないはずがない。例え、葵が攻撃しながらでも、容易いだろう。
だから、すぐに手放すように、導標を持つ手に向けて衝撃波を放った。
同時に短距離転移を使う。
「はぁっ!」
「シッ!!」
―――“呪黒剣”
即座に葵が呪黒剣を発動。咄嗟にその場を動かないように周囲に展開する。
そして、自前の刀と導標を振るわれる前に私は
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ