第二十二幕:ふたつの虹を宿した少女
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え!? は、はい」
凪咲「七色って、色が特定できないとも言えるわ」
時崎「そう・・・なりますね」
凪咲「だから、見た人の数だけ、虹の色はあると思っているの」
時崎「確かに、俺が見た虹色と凪咲さんが見た虹色が同じだと証明するのは難しいですよね」
凪咲「そうね。でも、それを証明する必要って、あるのかしら?」
時崎「え!?」
凪咲さんの言葉に、神経が掻き毟られるような思いを覚える。俺が行おうとしている事を否定されたような気がして・・・。七夏ちゃんに本当の虹を見せてあげたいと思うのは間違っているのだろうか・・・。
凪咲「昔、七夏を抱きながら虹を見たことがあるの。私は『きれいね!』って七夏に話したけど、まだ七夏は幼かったから、虹そのものを分かっていなかったかも知れないわね。あの時、一緒に見上げた虹・・・七夏にはどんな色に見えていたのかしら?」
時崎「・・・・・」
凪咲「私には、私の虹色があって、七夏には七夏の虹色がある・・・それだけの事よ」
時崎「・・・・・」
凪咲「でもね。七夏が、他人の虹に触れたいと望むのなら、母として応援しなければならないと思ってるの・・・それが、柚樹君だったら、協力をお願いしても、いいかしら?」
時崎「凪咲さん・・・もちろんです!」
凪咲「ありがとうございます」
少し安心しつつも、まだ、神経が震えている・・・。俺は、震える神経を宥めるのに手間取り、次の言葉を探し損ねていた。
凪咲「ごめんなさいね」
時崎「え!?」
凪咲「七夏の事になると、ちょっと遠慮がなくなってしまって・・・」
時崎「いえ、そんな事は! 色々ありがとうございます!」
俺は、凪咲さんにお礼をして、自分の部屋に戻った。
「とびだすアルバム」で七夏ちゃんを驚かせたいという思いはあるが、これは少し違う気がしてきた。七夏ちゃんは驚いてくれるかもしれないが、本当は喜んで貰いたい。
アルバムで七夏ちゃんが本当に喜んでくれる事が出来ないか考えを巡らせている。「本当の七夏ちゃん」を七夏ちゃんに知ってもらいたいから・・・。
しばらく「とびだす絵本」を眺めるが、良い考えが思い浮かばない。とりあえず前に進まなければならないので、凪咲さんへのアルバム制作を行う事にした。以前にトリミング編集していた七夏ちゃんの写真・・・その瞳をじっと見つめる・・・。
時崎「・・・そうかっ! もしかしたらっ!」
俺は「とびだす絵本」と「七夏ちゃんの瞳」から、ある考えを思い付いた。
時崎「うまく出来れば、七夏ちゃんが喜んでくれるかも知れないっ!」
俺は、思い付いた考えを素早くメモしておく。後はその考えたことが現実として制作、履行できるかどうかだ。思った事の半分でも実現する事は難しい。考えが暖かい間に、デジタル編集で素材を制作する
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