第二十二幕:ふたつの虹を宿した少女
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き物も沢山居るからだ。七夏ちゃんが生まれた時から瞳の色が変化していたら、病院内で話題になって、有名になっていたかも知れない・・・けど、そうではなかったという事が分かった。
時崎「という事は、今後の事も、分からないという事ですよね」
凪咲「そうね。先天的でないとしたら、今後、瞳の色が今のままなのか、変化しなくなるのか・・・それは分からないですけど、どっちにしても、七夏は私の大切な七夏・・・」
成長過程で七色に変化するようになった七夏ちゃんの瞳・・・「ふたつの虹」。それを自分で確認できない七夏ちゃんからすれば、最初は周りの人が口を揃えて、嘘を付いていると思っても不思議ではない。凪咲さんの話によると、ちょうどその当時、TVで「ドッキリ番組」が流行っていた事が、追い討ちをかけてしまったらしい。七夏ちゃんは、いつ「ドッキリだよ」って言ってくれるのか、最初は期待していたみたいだけど、いつまでも来ないその答えを待つのに、疲れてしまったみたいだ。七夏ちゃんが虹や、自分の瞳の話を避けるように振舞うのは、あまり良い思い出が無いからなのだろう。七夏ちゃんが「ふたつの虹」を確認できても、瞳に関する今までの事全てが、良い思い出に変わるとは思えない。だけど七夏ちゃんが「ふたつの虹」を見る事が出来れば「周りの人は最初から本当の事を話していたんだよ」という大切な思い出として、上書きされる事は、間違いないと思っている。
凪咲「七夏も、少し他の人と見え方が違うことがあるみたいで・・・」
時崎「色覚特性・・・でしょうか?」
凪咲「そう・・・かも知れないわね」
凪咲さんは、タンスの中から一枚の絵を持ってきて見せてくれた。
時崎「これは・・・」
少しくしゃくしゃになった紙に描かれた似顔絵・・・七夏ちゃんのお父さんだと思われる。描いたのは、幼い頃の七夏ちゃんだろう。七夏ちゃんの目の特性について、凪咲さんは話してくれた。
凪咲「七夏が生まれてきてくれて、私もそうですけど、ナオ・・・主人は、とても喜んだわ。女の子なら、主人が抱えている目の特性も、現れる確率がとても低くなるから」
時崎「確率・・・ですか!?」
凪咲「ええ。前にもお話しましたけど、主人の目の特性は、多くの人とは少し異なっていて、赤と緑の判断が難しいらしいの」
<<七夏「おとうさん、本当は運転士さんになりたかったんだって」>>
俺は、以前に七夏ちゃんが、お父さんの事を話していた事を思い出した。列車の運転士の場合、遠くの信号の色を早く正確に判断できなければならないらしいから、適性はないという事だった。
時崎「それは、赤緑色弱特性・・・」
凪咲「そうね。男の人の場合は、20人に1人くらいが、その特性を持っていて、女の人は500人に1人くらいになるらしいの」
時崎「男女で25倍
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