第二十二幕:ふたつの虹を宿した少女
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分からないが、写真には写らない物があるという事だ。その逆の現象なら、現実としてある。肉眼では見えないのに写真には写る「たまゆら(レンズフレア)」がそのひとつだ。他にも心霊写真もあてはまるかも知れない。だから、逆の事があっても不思議ではない。写真とは違うが、鏡に映っている七夏ちゃんの瞳は、俺が見る限り現実の七夏ちゃんと同じだった。以前に、三面鏡に映った七夏ちゃんの瞳を見た時、現実と同じ「ふたつの虹」を、俺は、はっきりと確認できた。だけど、三面鏡でも七夏ちゃんが「ふたつの虹」を確認出来ていないのは、間違いない。そして、七夏ちゃん本人も他の人から言われた事を、何度も確認しようとしたに違いない。
待てよ・・・七夏ちゃんが生まれた時、「七色の瞳の女の子」として、世間から騒がれる事は無かったのだろうか? 俺がこの街に来て七夏ちゃんと出逢って、再会するまでの間に一度思ったことのある疑問・・・時間は限られている。七夏ちゃんが居ない今、俺は意を決して凪咲さんに訊いてみる事にした。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
時崎「凪咲さん!」
凪咲「あら? 柚樹君! 何かしら?」
時崎「今、ちょっとお時間よろしいですか?」
凪咲「!? え、ええ」
時崎「すみません」
凪咲「柚樹君! ちょっと、こちらへ・・・いいかしら?」
時崎「あ、はい」
俺の表情から考えている事を読み取ったのか、凪咲さんは別の部屋へ案内してくれた。
凪咲「お話って・・・七夏の事かしら?」
凪咲さんに先手を打たれる。凪咲さんのお部屋に案内された時点で、なんとなく分かってはいたのだが・・・。
時崎「・・・はい。とても失礼な事を訊いてしまうかも知れません」
凪咲「・・・・・」
恐らく、凪咲さんは俺が今から訊こうとしている事を分かっている・・・そんな表情でじっと俺の目を見て、次の言葉を待っている。
時崎「初めて七夏ちゃんの瞳を見た時、驚きませんでしたか?」
凪咲「やっぱり、その事・・・ね」
時崎「すみません」
凪咲「いえ、いいのよ。いずれ話す機会が来ると思ってましたので」
時崎「・・・・・」
凪咲「七夏と初めて目が合った時・・・その時は、特に目の色が変化するようには、見えなかったわ」
時崎「え!?」
七夏ちゃんの瞳の色が変化するのは、生まれつきではないという事・・・凪咲さんが話しを続ける。
凪咲「七夏が5、6歳の頃かしら・・・ほのかに瞳の色が変わるように見えてきて・・・」
時崎「つまり、成長過程で目の色が変化する様になってきた・・・という事でしょうか?」
凪咲「そう・・・なりますね」
成長過程で色が変化する・・・「ディスカス」や「アジアアロワナ」を思い浮かべた。自然界では特に珍しい事ではない。色どころか、成長過程で姿形が変わる生
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