第二十二幕:ふたつの虹を宿した少女
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凪咲「今日は何かあるのかしら?」
時崎「え!?」
凪咲「柚樹君も七夏も、いつもよりも少しお急ぎみたいですから」
時崎「はい。ちょっと行いたい用事がありまして・・・でも、部屋に居ますから、何か手伝えることがありましたら、声をかけてください」
凪咲「はい。ありがとうございます」
部屋に移動して早速、アルバム作りに取り掛かる。まずは「とびだす絵本」の構造を理解する事から始める。
時崎「・・・なるほど。このように折り曲げて折りたたまれているのか・・・」
「とびだす絵本」を見る事はあっても、その構造まで注意深く意識して見た事はなかったので色々な発見があった。意識しないと見えてこないのは「副虹」だけではないという事だ。
しばらく「とびだす絵本」を眺めてから、自分でも試作を行ってみる。手元にあるメモ用紙に折り目を入れ、別に飛び出す箇所を切り取った紙を糊で貼り付ける。そのメモ用紙を二つ折りに閉じて開いてみる・・・すると、飛び出す箇所は浮き上がってきた! これはなかなか楽しい・・・が、固定した糊の力が弱かったのか、すぐにとびだす箇所が外れてしまった。何度も閉じたり開いたりする事を考えると、接着面をもっと広く取らなければならない。ただ、あまり広く取りすぎると見た目の印象にも影響するので、そのあたりのバランスは難しそうだ。
しばらく、いくつかの試作品を作って「とびだす感覚」を覚える。どうすれば、大きくとびだしてくるのか・・・。ここで、飛び出す部分にどんなデザインを行うかという問題にぶつかる。今の試作品は無地の紙がとびだしてくるだけだ。この箇所のデザインを考えなければならない。再び「とびだす絵本」を眺める。この本は「お城」「お花」「動物」が飛び出してくる。この本のような仕上りにするためには、相当なセンスが必要だ。絵を描くのは大変だから、素材を使ってデザインを行いたい。MyPadでデジタル素材や、七夏ちゃんの写真画像を眺めてイメージを膨らませる。いくつかの素材を選び、これを印刷しなければならない。
時崎「何度か、写真屋さんに出かける事になりそうだな・・・」
MyPadを眺めていて、凪咲さんから頼まれている七夏ちゃんの写真集も制作を進めなければならない。これは、七夏ちゃんにも協力してもらえるはずだ。あとで相談してみよう。七夏ちゃんの「ふたつの虹」については、まだ分からない事が多い・・・何より、七夏ちゃん本人が分かっていない。これを何とかすることは出来ないだろうか・・・。
七夏ちゃんの瞳の中に存在する「ふたつの虹」は、とても魅力的だ。だけど、その代償なのか、七夏ちゃん本人は、その事が分からないと話している。それは、瞳の色が変化する様子を、七夏ちゃんが確認出来ないからだ。写真には写らない、録画しても写らない・・・何故なのか・・・理由は
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