第22話 ヤンの帰還
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ッテンボローにせよ、美食家には程遠い。だが、未来のキャゼルヌ夫人が出してくれた手料理は、食事としては最上の喜びであるという考えの具現化であった。
ヤンとアッテンボローは雉肉のシチューを二杯もお代わりした。更にその後で出された麻婆豆腐も二杯もお代わりした。
「シチューと麻婆豆腐がお好きなの」
「今日から好物になりました。キャゼルヌ先輩は幸せですね、こんな美味しい料理を作ってくれるご婦人と結婚できるんですから、毎日食べたいぐらいですよ」
「あら、お上手だこと」
「本心からですよ」
「おいおい、人の婚約者を誘惑するなよ」
にやつきながらキャゼルヌ先輩が話した後で台所へ呼びかけをする。
「おい、この料理を作る相手と結婚願望があるそうだぞ」
すると台所からエプロンを着けたリーファが現れた。
「はーい、呼ばれて飛び出てジャジャジャジャーン」
リーファの姿を見てヤンとアッテンボローが驚く。
「リーファは統合作戦本部に居るんじゃないのか?」
「いや、驚かそうと思いましてね。此処でオルタンスさんと料理を作ってました」
「どの料理がリーファのだい?」
「麻婆豆腐や杏仁豆腐とか中華系ですね」
「どうりで、洋風と中華風が揃っていたわけだ」
「リーファさんに相談されてね、アッテンボローさんが逃げてばかりだからと」
「そう言う事だ、アッテンボローそろそろ覚悟を決めるんだな」
「ヤン先輩、先輩なら判ってくれますよね」
そう振られてヤンも困った顔をする。
「私に振られても困るよ」
「私の料理を毎日でも食べたいんですってね、良いわよ卒業したら毎日作ってあげるわ」
アッテンボローはヤンの慰労会だと思ったら、自分のドッキリ企画も入っていたので、やられたと思うので有った。
一際の笑いの後、キャゼルヌとアッテンボローにはコーヒーが供され、ヤンとリーファには紅茶が出された。近未来のキャゼルヌ夫人の心遣いに感銘を受けながら、ヤンは抱え込んできた話を始めた。ケーフェンヒラー老人の死、それに絡まる幾つかの歴史上の事件についてである。
「俺は席を外しましょうか」
「私も席を外しますわ」
アッテンボローが腰を浮かしかけると、リーファも早速アッテンボローを何処かへ連れ出そうと考えたようだが、キャゼルヌが軽く片手を上げてそれを制した。
「柄にも無く気を利かせんでいい。で、どう言う事が具体的に判ったんだ」
キャゼルヌの言葉にアッテンボローはホッとした顔をして、リーファは仕方が無いかと言う顔をしている。
その後ヤンがケーフェンヒラー老人が調べ、自分の推測を入れたぶるーブルース・アッシュビー、ジークマイスター、ミヒュールゼンのスパイ網やその裏側などを話し始めた。
「此がクリストフ・フォン・ケーフェンヒラーの手
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