35部分:第六話 レポートその四
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私はそれについて言いました。
「そうだけれど?」
「学校の授業で出て来たわよね」
古典とか世界史で。覚えなければならなかったので今でも覚えています。東寮の中で苦労して勉強した記憶があります。勉強中に新一君が下から大声で私を呼んだのはもっと覚えています。
「確か」
「だって有名な古典だし」
新一君もそれを言います。
「やっぱり出るよ」
「そうよね。それって実際に売られてるの」
「そうだよ。だから図書館にね」
「わかったわ。それにしても色々な本があるのね」
それをあらためて実感しました。いえ、本当に世の中って色々なものがありますね。
「色々な人もいるし」
「先輩みたいな小さい人も」
「背は関係ないでしょ」
またそれを言ってきます。どうせチビですよ。
「別に。、またそれを言うんだから」
「御免御免」
「今度言ったらデート中断だから」
「えっ!?」
えっ!?って。急にこの世の終わりみたいな絶望しきった顔になりました。
「そんな。それだけは」
「それだけはって」
そんな顔を見たらこっちの方が驚きます。
「何よ、その顔」
「それだけは止めて欲しいんだけれど」
新一君は泣きそうな顔で私に言ってきます。
「駄目!?やっぱりそれは」
「止めて欲しいの?」
「だってさ。その、つまり」
どうしてこんなに慌ててるんでしょう。別に出直すわけでもないのに。天理教では死ぬことを出直すと言います。一旦死んで生まれ変わるって考えて下さい。
「折角一緒にいるんだし。俺だって別に悪気があって言ったんじゃないし。先輩と、その」
「わかったわよ」
本当に泣きそうなんで。弟を泣かせたような気持ちってこんなのでしょうか。小さい頃妹達を泣かせたことはありますけれどその時より胸が痛むような。何でこんな気持ちになるんでしょう。
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