暁 〜小説投稿サイト〜
ウルトラマンゼロ 〜絆と零の使い魔〜
葛藤-コンフリクト-
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だ。愛梨も彼らにあやかって今では紺色…ダークブルーの髪色に染めたのだろう。
「…俺としては少しは距離を置くことも覚えてほしいんだが」
腕を巻く力を強める愛梨に、シュウは視線を逸らしながら言った。
「何よ。あたしとこうしてるのが嫌なの?」
「別にそうまでは言わないさ。ただ…その………言わせるなよ。なんか言い辛い」
満足のいくコメントがもらえない愛梨は口をとがらせていたが、今のシュウの反応で一気に満面の笑みを見せてきた。
「なーんだ。照れてたんだ」
「照れてない!」
生暖かい目で見てくる愛梨の視線から、真っ赤になった自分の顔を必死にシュウは誤魔化していた。





愛梨を彼女の家まで送り届け、自分も遊園地の楽屋に戻ってきたシュウ。結局帰り道の途中、あの化け物は出てこなかった。ほっとしたものの、警戒するあまり拍子抜けしたところもある。
『明日の放課後も一緒に帰ろ?』
夕日が窓から差し込む楽屋に戻ると同時に、愛梨からの携帯メールにそのように文面があった。明日も、か。まぁ、別にいいか。ハリス園長から頼まれた買出しの予定もないし。
「ふぅ…」
携帯を傍らに置き、ベッドの上に腰掛け、鞄からあるものを取り出した。
アンリエッタの口から、自分には光の巨人の力があり、それで自分と愛梨を殺そうとしたビーストを倒したという話を聞いたその日に見つけた、奇妙な剣。ベッドの上に寝転がって天井を仰ぎながらそれを眺めた。
「光の巨人…ねぇ」
自分にはその巨人となったときの記憶がはっきりしなかった。でも…こうして、どこかで購入した覚えさえもなく、いつの間にか持っていたこの剣を握っていると、不思議な力を感じて、アンリエッタの話が本当だと認識させられる。
とはいえ、あんな化け物を倒せるということは、近いうちに戦うことを義務付けられたようなものでもあり、同時にそれが、自分が想像している以上に過酷なものであるということだろう。和倉先生は、『最後に決めるのは自分だ』と言った。あの人のことだから、後悔しない選択をしろということなのだろう。でも、あの言葉があっても不安と疑惑ばかりが募る。
(なんなんだ…どうしてこうも頭の中がもやもやする)
和倉の言葉に押されて、俺は戦う!な熱血少年王道漫画的な展開もあっただろう。でも、自分はそこまで単純になりきれないし、軽率にそんな選択をとるべきでもないと考えている。もし自分が巨人の力を行使してビーストと戦うことが『理屈として正しい』ことだとしても、それが自分にとって本当に望ましい未来が来るなんてありえない。寧ろ、地獄のような未来が来ると考えるべきだ。
(って、まるで昔に経験してきたような考えだな)
シュウは体を起こした。少なくとも自分は、心に強く刻みつけられるような悲劇に見舞われた覚えはない。その割には、かつて経験した
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