暁 〜小説投稿サイト〜
ウルトラマンゼロ 〜絆と零の使い魔〜
葛藤-コンフリクト-
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だ、愛梨…お前か。脅かすな」
「だって、朝からずーっとボーっとしてばかりだもの。悪戯くらいしたくなっちゃうもん」
もん、って…。シュウははぁ、とため息を漏らす。
「ため息ばかり漏らしてると幸せ逃げちゃうよ?」
「余計なお世話だ。それにため息を漏らそうがもらすまいが、ここしばらくは妙に不幸に見舞われているだろ」
愛梨の一言に対し、シュウは皮肉交じりに言った。言うとおり、なぜか2年の平賀サイトとその一派の女子たちのおかげで変な不幸に見舞われている。
「まぁ、死ぬよりはマシか。俺の知る誰かがそうなるよりは…な」
自分はさらに深い不幸を知っている。ビーストという脅威にさらされるという恐怖を。そして誰がために力を振るっても結果が最悪な形となる………?
(…また妙なことを考えたな。まるで前にも体感したことがあったような…)
「シュウ?」
「…いや、なんでもない。それより、もう帰るぞ。今日は家まで送る」
「え!?」
急に家まで送ると言って来たシュウに、愛梨は目を見開いて驚いた。
「またあの化け物が現れないとも限らないだろ。いざというときは守れるようにはしておきたい」
「シュウ…えへへ」
想い人が自分を守ってくれる。その展開が嬉しかったのかすごく微笑んでいた。あのナメクジの怪物に教われてよかったかも…などと内心では思っていたほどだった。
荷物をまとめたのち、校門を出て、まず最初に愛梨の家まで彼女を送って行くことにした。
隣で帰路を歩く愛梨だが、歩いている最中ずっと笑みを浮かべ続けていた。
「ふふふ…」
「さっきから何ニヤニヤしているんだ。なんか気持ち悪いぞ?」
「むー、気持ち悪いって何?女の子に対して失礼ね。女の子にとって、気になる人から守ってもらうの、一番嬉しいことだもの」
気味が悪く感じたシュウが突っ込むと、愛梨はその言い方に機嫌を悪くする。そう言いながらも、彼女はシュウの腕に自分の手を回す。
「おい…!」
「こうして一緒にいるだけでも幸せなの。でも、次第にそれだけじゃなりなくなる。著との時間も離れたくないな。
いっそ…世界があたしとシュウだけになってしまえばいいのに」
(…?)
シュウは、彼女が最後の方の言い方に目を細めた。愛梨にしては、あまりにもらしくない言葉だ。愛梨は自分も他人も幸せであることを求める、今時珍しいタイプの、優しさの塊のような少女だったはずだ。だから、他人を頑なに蔑ろにするようなことは言わないはず。
(本当に…愛梨、なのか?)
一瞬彼女が本当に愛梨なのか疑った。
(そういえば、子供の頃のこいつとは、髪色も違うような…)
…いや、こいつがやたら俺にくっついて来るのは今に始まったことじゃないし、気のせいだろう。髪の色だって、この学校では金髪や赤髪、最近では鳶色の髪なんて現れ、花畑のようにカラフル
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