葛藤-コンフリクト-
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ものだ。どんなものだったのか、それは明確に思い出せなかったが、強く現実味のある夢を見た気がする。まるで、自分が別の世界に飛び込んだような感覚だった。
シュウはベッドから起き上がり、窓の外を見る。
そこから広がる光景は、まだ彼にとってまだ訪れて間もない場所であり、サイトやルイズにとってなじみ深い場所…トリステイン魔法学院の中庭だった。
「…いと!サイト!」
耳元で煩い声が聞こえてきた。なんだよ…と声を漏らしながら、サイトは起き上がった。開かれたその目に、見知った天井の光景が飛び込んだ。既に制服に着替えていたルイズが、腕を組んで朝からご立腹の様子だ。
「ふあぁ…朝か」
パーカーを脱いだ白いTシャツ姿のサイトは、大きなあくびをしながら背伸びした。反省しているようにも見えない彼に、ルイズは機嫌を損ねる。
「朝か…じゃないでしょ!前にも言ったわよね?あんたは使い魔なんだから、ご主人様である私よりも早く起きてなさいよ」
まだ目を覚ましきれていないせいか、ボーっとした眼差しのままサイトはルイズを見て、奇妙なことを尋ねた。
「…なぁルイズ。お前パンを咥えて学校に登校とかしてた?」
「…まだ寝ぼけてるの?貴族である私が、そんなはしたないことするわけないでしょ」
ルイズの、何言ってんだこいつ?みたいな言葉を聞き、次第に意識がはっきりしてきたサイトは、自分でも妙なことを尋ねてしまったと思った。
「あぁ、悪い…懐かしい夢を見たからかな。さっきから頭がなんかボーっとしてるんだ」
懐かしい景色にあふれた夢を見ていた気がする。
自分とハルナ、そして別次元だがシュウの故郷でもある星、地球。この異世界に来て何度も戦いに身を投じてきたこともあって、まだ1年も経っているわけではないのに、随分昔のことのように思えてきた。
どんな夢を見ていたのか、かすかに覚えている。自分やハルナが地球にいた頃と同じように高校に通っていたことまでは、かつての生活と同一だが、おかしな相違点があった。
(ルイズたちが、いたような…)
そう、違う世界の者であるルイズたちが同じ学校に通っていた。しかしそれだけじゃない。
(俺の家、料理屋なんて経営してなかったよな?)
夢の中だからだろうか。自分の家が本来の形と大きく異なっていた気もするが…。
「平賀君、ルイズさん。起きた?」
考えている間に、部屋の外からハルナの声が聞こえてきた。
「大丈夫よ。今バカ犬も起きたところだから、入ってきてちょうだい」
ルイズが入出許可を下すと、ハルナが「おはよう、二人とも」と、朝の挨拶と共にルイズの部屋に入ってきた。
「んじゃ、起きたところで相棒。飯でも食いながら、みんなに話すことをまとめたらどうだい?あのサムライの娘っ子のためにもよ」
壁に立てかけられたデルフがそう言った。
幸い今日
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