葛藤-コンフリクト-
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が、思い出すのはアンリエッタの言っていたビーストの生態。奴らは人の恐怖に付け込んで増殖する。それに加えて、あの怪獣。このような戦いは、恐らく今回限りではないだろう。
「なぁ平賀」
「うん?」
「俺は、この先も戦えると思うか?」
また戦いは続く予感がして、沸き上がった不安を質問として口にする。用心深い…いや、臆病だからだろう。どうしても最悪のパターンを思い浮かべてしまう癖が出てしまう。
「…俺たちはウルトラマンだからって未来が読めるわけじゃねぇぜ。わからねぇよ」
ネクサスの、シュウの心情を察しつつ、人間平賀才人として正直にわからないと答える。それもそうか、と自分でも何を尋ねているのだとネクサスが自嘲気味に思っていると、「でもさ…」とゼロは言葉を紡ぐ。
「俺は戦い続けるよ。奪われたくねぇからな。学校ですごす平凡な生活も、俺たちの日常で出会ってきた大切な人たちを。先輩だって、そうだろ?」
「…ああ」
この先も守ってあげたい、あの裏表のない笑顔。子供たちもそうだし、憐もテファも、最近違和感を覚えている愛梨に対してそう思う。
そう、俺はこんな笑顔を守りたかったのだ。人々の笑顔に溢れた未来。そこにあるのは誰にとってもだから、あの時も…
(…あの時?)
何か思い出しかけたネクサスだが、どうしてだろうか。なぜか、頭に靄がかかったように思い出せなかった。何を思い出しているのだろうか思考を巡ろうとしていると、また頭がぐらっと傾く。
(あれ…なんだ…眠…)
急激に押し寄せてきた睡魔。それに抗えず、シュウとサイトの意識は途切れてしまった。
目が覚めると、とある建物の客室だった。
「ようやく目が覚めましたかい、旦那。」
地下水の声で意識もはっきり戻ってきた。
「…あぁ」
またいつの間にか眠っていたらしい。…ムサシの言っていたとおり、連日の戦いで疲労が蓄積していたのだろうか。ストーンフリューゲルの加護も完全ではないということか?
「なぁ旦那〜、たまには俺を使ってくだせぇよ。あんたの持ち物になったってのに、てんで役に立つ機会がねぇからよ。刺激が足りねぇんだよ刺激が」
「…」
「ちょっとちょっと旦那。聞いてんのか?おーい。って聞いてねぇし。
…ったく、北花壇騎士にいた頃の方がまだマシだったかもな」
相当退屈だったためか、子供みたいに地下水がごねている。シュウたちの手に鹵獲される以前の方が、彼?にとってはそれなりに刺激の多い日々であったが、今はシュウが戦いから退いていることもあってか至極退屈。だからせめて何らかの用途で使ってほしかったところだが、地下水の愚痴はシュウの耳には届いていなかった。聞いていたところで、シュウが身を削って戦うことをテファたちは許さないだろう。
(また、妙な夢を見ていた気がする)
だが、また妙な夢を見た
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