葛藤-コンフリクト-
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りしない奴のことを考えても時間の無駄だなんて言ってしまうだろう。
「…かもしれません。でも、考えずにいられなくなってるんです。
その…もし、俺の知っている人たちが、そいつらの手にかかると思うと…ッ」
そういいかけたところで、シュウはとっさに自分の口を塞いだ。自分でも驚くほどにすばやく、自分の手がその先の言葉を言わせまいと勝手に動いて自分の口を覆っていた。なぜかそのとき、愛梨が自分の腕の中で……そうなったときの予想のヴィジョンがよぎっていた。
「都市伝説のバンニップが本当にいたら、か…」
和倉はシュウの近くの席に座り、天井を見上げながら言い始めた。
「もし、本当にそうだとして、それを知ってしまったとしたら、俺もきっとたくさんの疑問を抱えることになるだろうな。
奴等はどこからきたのか、なぜ人の目を偲んで人を襲うのか、どうして昼間から堂々と姿を見せようとしないで、都市伝説程度の存在に留まっていられるのか…考えれば考えるほど、疑問が増えていく。そしていつしか、疑問を抱くことにも疲弊するかもしれない」
和倉の言葉に、シュウはただ耳を傾け続けていた。妙な気もした。まるで実際にバンニップ…ビーストをその目で見たことがあるかのようにも聞こえた気がする。
「…だが、疑問を抱くことを捨てることは、その人間の成長を止めることと同じだ。人はあらゆる悩みや矛盾、疑問、苦悩…それらに遭遇する度に苦しみを感じて逃げ出したくなる臆病な生き物だが、同時にそれらを試練として乗り越える強さがある」
「…」
「すべては、お前次第だ。黒崎。何が信じるべき現実なのか、何をどうしたいのかは、それを最後に決めるのは自分自身だ」
和倉は席を立つと、シュウの方に手をぽんと置いた後、「じゃあな」と一言だけ声をかけて教室を後にした。
最後に決めるのは自分、か。確かにそのとおりだとは思う。でも…なぜかシュウの頭の中に、いやなイメージが浮かんでしまっていた。
愛梨が自分の腕の中で…息絶えるそのさまがなぜか鮮明に頭の中に浮かんでしまう。まるで、かつてそれを体験したことがあるかのようにリアルだった。
(ッ…)
胸が張り裂けそうになる。だから迷ってしまう。
もし、アンリエッタたちの言っていた『光の巨人の力』を使ってビーストと戦うことを決意したとしても、その先に望ましくない悲劇が訪れないとは限らない。そう思えてならなかった。自分が戦うことについては、愛梨も、『彼女』も納得はしないだろう。
(…彼女?)
俺は今、誰を浮かべた?愛梨以外に、誰かもう一人の後姿が頭の中をよぎったが…
「シューーウ!」
「冷!?」
右頬に冷たい感触を覚え。思わずシュウは反対方向へと飛びのいた。右頬を押さえながらそちらを見ると、愛梨が片手に自販機で買ってきたと思われるジュースの缶を持って笑っていた。
「なん
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