27部分:第五話 彩華ラーメンその四
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転をはじめちゃいました。危うく舌を噛むところでした。
「ちょ、ちょっと」
「このまま一気に行くから」
人の話なんて聞いちゃいませんでした。
「それでいいよね」
「だから安全運転でしょ」
怒って言い返しました。
「そうじゃないと許さないから」
「あっ、じゃあ」
急に運転が穏やかになりました。
「そういうことで」
「わかってくれたらいいけれど」
動きが急に穏やかになって。後ろにいる私の方が驚きでした。こんなに素直じゃないんですけれど。今回に限ってどうしたんでしょうか。
けれどやっぱり自転車は速いです。あっという間にその彩華ラーメンの前にまで来ました。ここのラーメンって本当に印象的なんです。どう印象的かというと。
「それでさ」
私達はテーブルに向かい合って座りました。そこで新一君が言ってきました。
「大蒜入れてね」
テーブルの端にあるおろし大蒜を入れた容器を指差して言います。ここのラーメンは大蒜味でしかもテーブルにも大蒜を用意してあるんです。
「どかっと入れてね」
「それはいいけれど」
私も大蒜は嫌いじゃないです。ですからそれは本当にいいんですけれど。
「何?」
「後でいいの?」
そう新一君に尋ねました。
「後でって?」
「ほら、誰かと待ち合わせとかしてないわよね」
「別に。家に帰るだけだし、もう」
「そうなの」
「そうだよ。それにさ」
ここでまた言います。
「俺の一番大事なのって今だし」
「今!?」
「そう、今」
私の顔を見て笑って言います。
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