番外編070話 if ゲート編 06話
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が、生憎と今はこっちから手を出すつもりはない。
まぁ、向こうから接触してくれば話は別だが、ピニャも炎龍を前にしてすぐにどうこうとする事は出来ないのだろう。
そうして少しの時間が経ち……やがて、周囲に焦げ臭さが漂ってる中、やがて数台の車がこっちに向かってやって来た。
車から降りてきた伊丹は、どこか恨めしそうな視線をこっちに向けているのだが……ともあれ、イタリカとの交渉に関しては伊丹に任せるとしよう。
「伊丹達も来たし、行っていいぞ。腹も減っただろうから、動物やモンスターの類を食ってきてもいい。ただ、人間や亜人の類は食べるなよ」
「ギャウウ」
頭を撫でながらそう言うと、ポチは嬉しそうに鳴き声を上げてそのまま飛び去っていく。
「えっと、それで……これからどうするんですか?」
「どうしたい? 俺としては、別にこのまま帰ってもいいんだが……」
「いやいやいやいや、それは勘弁して下さい! これだけの事をしておきながら、イタリカにいる人達に何も言わずに帰るような真似をすれば、絶対に問題になりますって」
「そうか? やっぱり問題になるか?」
「ええ、はい。ですから……」
「なら、交渉は任せた」
「アルマー代表が……え? 今、その、何と?」
言葉の途中で、何か奇妙な事を聞いたぞ? と言わんばかりに伊丹が視線を向ける。
「だから、交渉は伊丹に任せた。……何て言うんだったか……そうそう、良きに計らえって奴だな」
「いや、ちょっ!」
伊丹が俺に何かを言い返そうとするが、それよりも前に事態は動く。
イタリカの城門……の近くにある、勝手口とでも呼ぶべき場所が開き、数人が姿を現したのだ。
先頭にいるのは、赤毛の美人。
言うまでもなく、帝国の皇女たるピニャだ。
だが、普段は凛とした様子のピニャなのだろうが、今はどこか恐る恐るといった様子を見せている。
ちょっと前にここで行われた事を考えれば、それも当然なのだろうが。
ともあれ、ポチに乗っていた俺や亜神のロウリィを畏怖の目で見ながらも、ピニャとの交渉は始まるのだった。……完全に伊丹任せだったが。
「その、貴方達は一体……」
皇女にしては言葉遣いが妙に丁寧なのは、やはりポチの攻撃をその場で見ているからだろう。
しかも俺がポチから降りてきているのも見ていただろうし、その頭を撫でているのも見ている。
この状況で強気な交渉が出来る筈もない。
もっとも、伊丹の方も別に交渉が得意って訳じゃないし、そもそも今回の一件で盗賊を倒したのはシャドウミラーの代表たる俺だ。
そうである以上、自衛隊の利益になるような取引をするわけにもいかず……ワイバーンの鱗の類を売るのを邪魔せず、一時的な停戦条約を結ぶという事になるのだった。
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