第二幕その四
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「丸いね」
「うん、その上にお塩を乗せてだね」
教授もパンを食べつつ言います。柔らかいそのパンを。
「黒くて丸いパンを食べる」
「お外でね」
「ロシアのパンをね」
その黒くて丸いパンはというのです。
「それはいいね」
「あちらもね」
「パンは白いものって思っていました」
恵梨香はパンについてこう言いました。
「最近まで」
「それが違うから」
その恵梨香にナターシャが言います。
「黒いパンもあるの」
「今は確かに白いパンが多いけれどね」
ジョージもパンについて言いました。
「そちらのパンもあるんだよね」
「大昔は黒いパンばかりだったそうだね」
神宝は歴史からお話します。
「白いパンじゃなくてね」
「そうよね、私も白いパンばかり食べてるけれど」
トロットにしてもです。
「アメリカにいた時から」
「うん、僕もだよ」
それはモジャボロもでした。
「白いパンばかり食べているよ」
「まあわし等はそうだな」
キャプテンもその口調はしみじみとしています。
「ここにいる皆は」
「昔っていっても相当昔ですよね」
カルロスはその昔について聞きました。
「僕達が生まれた前よりも」
「大体十二世紀とかね」
「本当に昔ですね」
「その頃からね」
まさにというのです。
「大体パンが白くなってね」
「それまではですか」
「パンは黒いもんどあったんだ」
「それが変わったんですね」
「そうだよ、最初白いパンはかなり高価だったんだ」
「ご馳走だったんですね」
「そうだったんだよ」
その白いパンがというのです。
「その頃はね」
「今じゃ普通に皆食べてるけれど」
トロットはパンをスープに付けてそうしてお口に入れてからそのうえでキャプテンに応えて言いました。
「それが違ったのね」
「そうなんだ」
「十二世紀までは」
「そう、とはいっても今ではね」
「こうしてね皆食べているね」
「そうね、あとこのパンは柔らかいけれど」
トロットは今度はバターを付けてパンを食べています。
「フランスパンは固くて」
「昔の船乗りのパンなんてな」
「そっちも固かったの」
「わしは食べたことがないが」
船乗りだったけれどです。
「昔の船のパンといえば」
「フランスパンよりもなの」
「固かったらしいな」
「どれ位固かったの?」
「石位と聞いているよ」
「石って」
「それで食べるに苦労したらしい」
「そりゃそんなパンだとね」
それこそと言うトロットでした。
「苦労するわよね、食べるにしても」
「ビスケットなんてものじゃなくてな」
「しかも美味しくなかったわね」
このことに気付いたトロットでした。
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