番外編〜『最強』の覚醒〜
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『精々、抗えばいいさ。』
―執務室―
「…………結局、木曾は一人だったんだよ。」
大輝は吐き捨てるように呟いた。椅子に深く腰掛けたまま、いつもなら話しながらしている事務作業にすら手を付けてなかった。
そうとう、木曾の事について堪えていたようだ。
「…………えぇ。」
さっき、私たちは明石に任せて工廠を後にした。恐らく、明日の朝には改造が終わってるだろう。
…………その時、木曾は人間じゃなくなる。
「誰も追い付けなかったし、寄り添えなかった。木曾自身も、誰も近寄らせなかった。結果として、更に木曾を一人にしてしまうことになった。」
大輝は机の上に置いてあった書類を握り締めた。その書類は、木曾の改二への改造の報告書だった。
…………後で作り直さないと。
「もちろん僕は、誰も死なせたくない。でも、艦娘をやめたあとに普通の生活にも戻してあげたい。」
それは、大輝がずっと言ってきたことだ。
「でも、どっちも取るってのはかなり難しい。そう考えたとき、僕は『死なせない』を選んだ。」
「…………えぇ。」
それが、木曾の改造を進めた理由。
かなり、悩んだ筈だ。
その証拠に、木曾の改二への改造が実装されたとき、大輝は物凄く複雑な顔をしていた。
「でも、これは戦争なんだ。『死なせない』なんてできるはずがない。なんなら、木曾自身が死ぬかもしれない。それなのに、僕はそれを選んだ。」
大輝はそこでため息をつくと、天井を見上げた。
「僕は――最低だ。」
…………木曾が言ったことの方が正しい。組織のトップが構成員のレベルアップを図らないのは愚策だ。だから、今回の大輝の決断は、はた目から見たら正しい。
でも、大輝はいい上司だった。
部下の退社後のアフターケアまで考えていた。
だから、誰も大輝を責めさせない。
「…………大丈夫。私は知ってるから。」
その苦悩も、決断も、後悔も。全部知ってる。
「…………知ってるから。」
「……あぁ。」
私は、大輝の頭を撫でてみた。
大輝は、何も言わなかった。
お互いに、何も言わなかった。
―数ヵ月後―
『緊急!緊急!金剛、榛名、龍驤、木曾、神通、時雨の六名は至急工廠まで!佐世保鎮守府より救援要請!沖ノ鳥島海域より、敵艦隊に包囲!佐世保鎮守府の艦娘の保護と敵艦隊の撃退が目的!繰り返す!…………』
オレは海の
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