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提督はBarにいる・外伝
上条当麻という男
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るなら全力の相手とぶつからにゃ意味がない。

「では、演習場に移動シマース!付いてきてネ〜!」

 金剛が元気よく手を振りながら上条一行を案内していく。

「あ〜、その前にちょっといいスか?」

「あん?どうした、トイレか?」

「いや、そうじゃなくて……実はちょっとお借りしたい物が」

「………?」

 やれやれ、何やら面白い事になりそうだ。




「よい……しょっと。こんな物、一体何に使うんですかねぇ?」

「さぁな。まぁ、ウチの備品だからぶっ壊されない限り文句はねぇが……」

 上条大佐は、明石に『ある物』を借りたいと伝えて来て、明石が頻りに首を傾げながらも貸し出す許可を俺に取りに来た。別に俺も否はなく、明石に保管庫から持ってくるように伝えた。明石が持ってきたのはマリンバイク。ジェットスキーなどとも呼ばれる、ジェット噴流を使って水上を滑走する小型船舶だ。

「まさかとは思うが、これに乗って現場で指揮するのか?」

 提督の戦闘指揮のやり方には、大きく分けて2通りのやり方がある。1つは鎮守府から遠距離通信によって艦娘に指示を飛ばすやり方、そしてもう1つは艦娘達に同行して現場で指揮をするやり方だ。それぞれにメリット・デメリットがある。

 前者の鎮守府から指揮をするやり方のメリットはなんといっても、提督の安全性が高い事だ。流れ弾が飛んでくる事もないし、不意を突かれて爆撃される事もない(鎮守府が戦場にならなければ、だが)。デメリットとしては不測の事態に対応しにくい事と通信機が故障したらどうしようもないという事か。ウチは基本的にはこのやり方だが、ほとんど指揮らしい指揮は出した事がない。作戦を練る時に多少の意見をしたり、俺の判断がどうしても必要な場合のみ口を出すようにしている。何より現場の判断を優先しているワケだ。正しい判断や決断を下せるだけの思考と、それを実行に移せるだけの訓練は積ませてあるつもりだ。

 逆に後者のメリットは、逐一提督の指示が仰げる点だろう。何せ現場にいるのだから、現場の状況は具(つぶさ)にキャッチ出来る。提督自身が細かい指示を出せる為、艦娘に任せる不安が少ない。デメリットとしてはやはり、提督が危険に晒される点だろう。艦娘が居るのは砲火飛び交う戦場なのだから、当然自分が狙われる危険性はある。寧ろ、敵の指揮官が乗っていると悟られれば集中砲火に遭うのは目に見えている。上条大佐はこっちのやり方なんだろうな。だが、マリンバイクってのはやりすぎだ。普通ならば通信機の備え付けられた指揮所のある護衛艦等に座乗して指揮するのが一般的で、どんなに頑張ってもクルーザーがせいぜいだ。幾ら小回りが利くとは言っても、これじゃあな……。

「あ〜、違うっスよ?」

 声のした方を見ると、ウェットスー
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