上条当麻という男
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迎えの車を回そうか?とも打診したが、恐縮したのか迎えの車も要らんと言われてしまった。……まぁ、俺同様そういった類いの厚遇が面倒臭いと感じるタイプなのかもな。玄関口で出迎える為に予定時刻の前から俺と金剛の二人で待ち構える。
「どんな人デスかねー?」
「さてな。20歳そこそこの小僧らしいからな……小生意気でなけりゃあそれでいい」
若さ故の無鉄砲さはしょうがないとしても、立場が上の人間にさえ横柄な態度を取るのは見過ごせん。また、若い内から優秀な奴ほどその傾向が強い。実際、ウチに演習にやって来る提督の何割かはそんな連中だ……まぁ、そんな野郎は挨拶の時点でやらかしてきやがるので礼儀を教育(物理)してやった上で、演習によってその鼻っ柱をへし折るというよりバキバキに粉砕してやるのだが。さてさて、上条大佐はどっちの人物かねぇ。やがて鎮守府の門の前に数台のタクシーが停車する。どうやら、空港から分乗して直接ウチにやって来たらしい。なら別にウチの送迎車でもよさそうなモンだが……まぁいい、どんな面してるか拝ませてもらおうじゃねぇの。タクシーから降りてきたのは、利根をはじめとした6人の艦娘。さしずめ自分の鎮守府から連れてきた演習相手ってトコだろう。そして最後に降りてきた白い軍服の男……あれが上条当麻、か。
身長は意外と低いな……170にちょい足りない位か。中肉中背だが、どちらかと言えば筋肉質。特に鍛えているような跡は無し。だが、指の付け根に拳ダコがあるな?成る程、鍛えてねぇ身体に拳ダコとくりゃあ、中々のヤンチャ坊主だって事だ。昔の俺を見ているようで若干気恥ずかしさが沸いてくる。髪はお洒落のつもりかワックスで立ててるな。『不良になりきれてない不良』って表現がしっくり来そうだ。顔は……あ〜、明らかに面倒臭がってる顔だなありゃ。それでもちゃんと遅れずに来る辺りは好ましい性格だと言えるな。嫌な事なら俺は全力で逃げるしな。そろそろ人間観察は終わりにして、真面目に提督としての務めを果たしますかねぇ。
「よく来てくれた、上条大佐。俺がこの鎮守府を提督をしている金城だ。今日は演習の相手……よろしく頼むぜ?」
そう言って挨拶がわりに握手をしようと右手を差し出す。
「あ、はい!こちらこそよろしくお願いします!……と言っても大将の相手になるかどうか」
そう言って上条大佐も握り返して来る。握力はそれほどでもないが、明らかに『人を殴り慣れている』手だ。手触りで解る。
「んなもん、やってみなけりゃ解らんさ……兎に角、今日は手加減無しで行く。お前らも早々に諦めず、当たって砕けるつもりで全力で来い」
演習相手には手抜きをした事は一度も無い。大将という立場上、挑まれる側だという意識もある。武道なんかでいう『胸を貸す』という奴だ。それに、人となりを見
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