四話〜盤外戦あいVS銀子A中盤戦〜
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玄関の鍵が慌ただしく回され、開けられる。
ああ、そういや昨日はあいちゃんが居たから、一応鍵掛けてたか。
パジャマ姿のまま、開く玄関を眺めていると、そこには汗だくな姉弟子が。
『浪速の白雪姫』の美貌は変わってないが、普段と違い感情が表に出てるな。
何か焦ってる。
なんでだろうナー、と考えながら、風呂に入る前に入れて貰った暖かいお茶を湯飲みですすっていると、いきなり姉弟子は、襟の辺りに顔を近づけた。
くんくん、すんすん。
そう聞こえるほど顔を胸に埋めて香りをかがれると、いきなり姉弟子は顔を八一の顔に向けた。
疑問を浮かべる八一に対し、やけに暗い瞳で問いかける。
「シャンプーの香りがする。お風呂入ったの?」
「ああ、昨日は忙しくてね。ついさっき入ったけど?それが何か?」
「女と入ったの?」
「何でだよ、小さいとはいえ初めて会った女の子とは入らないだろ?」
「…………?小さい…………女の子?」
えっ、そこから?と思いながらも、八一は説明した。
前に話した、前回の竜王戦から将棋を指南した、小さな弟子候補の事を。
姉弟子は目の前でぶつぶつアウト…………いやセーフ?と呟いている。
後、なんか師匠の名前を出して悪いことしたわね…………とか言ってるが、スルーしよう。
無駄に藪をつついて蛇を出すのは、趣味じゃない。
すると、浴室の方向から、何か声が。
『師匠…………師匠の胸に顔を埋めている、その不埒な女、誰ですか…………』
あれ?可笑しいな?お風呂に入っているのは笑顔が可愛い女の子で、こんな声を聞くだけで常人が震え上がる声を出すわけないんだが。
確認の為に顔を向けると、何故か全裸で目が暗いあいちゃんが近づいてくる。
はぁ。
ため息一つつくと、肩にかけていたタオルを外し、ふわりと頭にかける。
そして、優しく髪を拭きながら、あいちゃんに滔々と諭した。
「あいちゃん、いくら室内が暖かいとはいえ、濡れたままだと風邪引いちゃうよ。バスタオル置いておいたでしょ」
姉弟子を胸に押し付け、少々無理な体制で横に上半身をひねり、あいちゃんの頭を拭いてあげる。
流石に小学生の裸体を見て興奮するほど飢えてはいないが、はしたないとは感じる。
それが師匠となる自分への信頼が理由だとしても、いや、だからこそ指導しなければ。
あいちゃんも解ってくれたのか自分が頭を拭き始めたら、静かにされるがままになっている。
時折聴こえる『んっ!…………んぅぅ…………』という声は、他人に頭や首元を拭かれるくすぐったさからくるものだろう。
何か胸近くにいる姉弟子は、何が苛立つのか、『やはり…………敵!』とか○ンダムのようなこと呟いてるし。
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