絶対零度
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は・・・まだまだその力が必要だよ!!」
その現実を受け入れられない少女は、自らの体内に復活した、わずかながらに感じられる魔力を少年の傷口へと当てる。
「やめろ・・・まだ馴染んでないのに魔法を使ったら・・・また・・・」
「いいの!!あたしはレオンを助けられれば・・・魔法なんか必要ない!!だって・・・」
自身の回復魔法で必死に少年の傷を癒そうとする。だが、その手から放たれる魔力はとても小さく、彼の体に大きく空いた穴を塞ぐのは不可能だった。
「レオンのことが・・・大好きだから」
涙でグチャグチャの表情で白くなっている少年に話し掛ける少女。それを聞いた彼は、嬉しそうに笑みを見せた。
「俺も好きだよ・・・大切な・・・友達として・・・」
「違うの!!あたしの好きはそういうのじゃない!!」
笑みが浮かんでいた少年の表情が困惑の色へと変化した。彼女が何を言いたいのかわからない彼は、次に出てくる言葉を待つ。
「“愛”してるんだよ・・・レオンのこと・・・一人の男の子として・・・」
「え・・・」
彼は何を言われているのかわからず、遠くにいた従兄へと視線を向ける。彼は必死に涙を抑えながら、真っ赤に目を充血させて、小さくうなずいてみせた。
「いつから・・・?」
「ずっとだよ・・・ずっと・・・」
天空の神の涙が氷の神の体へと降り注ぐ。ようやく彼女の気持ちに気付かされた神は、紅く染まり行く空を見上げ、奥歯を噛む。
「そうだったんだ・・・全然気付かなかった」
自分にずっと自信が持てなかった彼は、彼女が自分を慕ってくれているとは思っていなかった。もっとカッコいい存在が近くにいるのに、自分をそんな風に感じてくれていたことに喜びを感じていた。
だが同時に、彼はひどく自らを嫌悪することになってしまう。
「最低だな・・・ずっとシェリアの気持ちに気付かなかったなんて・・・」
手を伸ばし、涙が止まらない少女の頬に触れる。彼の手に付いた赤い血液が、彼女の涙を混ざり合った。
「ごめんシェリア・・・俺・・・絶対勝ちたいって思ってたのに・・・」
彼女のために勝ちたい・・・生きていたいと強く願い戦いに挑んだレオン。その願いは叶わないことは、もう誰の目から見ても明らかだった。
「シェリアがあんなに頑張ってくれたから・・・生きて・・・」
「諦めないでよ・・・レオン・・・」
少女の頬から手を離し、自らの熱くなった目頭を押さえる。神の領域により熱を帯びていた彼の体は、少しずつ冷たくなっていた。
「ねぇ・・・シェリア・・・」
「何?レオン」
お互いの目線が合う。だが相手の顔はほとんど見えない。涙でボヤけた視界を必死に取り戻そうと、少年は涙を拭った。
「笑ってくれよ・・・泣き顔じゃ
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