129部分:第十七話 梅雨ですその七
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第十七話 梅雨ですその七
「心が奇麗なのはそう簡単にはわからないだろ」
「それはまあ」
確かにそうです。顔だってぱっと見てもハンサムじゃないのによく見ると、っていうのはありますよね。私もそれで俳優さんの好みが変わったりもします。
「そうだけれど」
「だから大変なんだよ。その長池先輩だってな」
「まだ奇麗だってわからないって言いたいのね」
「そういうことさ。ちっちはいい人だって言うけれど」
「一度会ってみる?それじゃあ」
「いや、それは」
いいって言います。拒む感じです。
「別にさ。いいよ」
「けれど会わないとわからないわよ」
「会わないとか」
「だから。御会いしてみる?」
それをまた彼に提案してみました。
「よかったらだけれど」
「ああ、別にいいよ」
けれど彼はまたそれを断ってきます。何か話が堂々巡りになってきたような。
「それはさ」
「そうなの」
「ああ。気持ちは有り難いけれどね」
「わかったわ。それじゃあ」
話はこれで終わりました。それでふと教室の窓を見てみると。やっぱり雨が降っています。あまり強くはないですけれど降っていることには変わりません。
「今日は一日中こんなのかしら」
「体育は体育館かビデオね」
「そうね」
「ラグビーのビデオかな」
彼はふとこう呟きました。
「今日も」
「ラグビーの?」
「うちの学校っていえばラグビーじゃない」
「ええ」
天理高校ラグビー部は野球や吹奏楽と並んで全国クラスです。真っ白のユニフォームがトレードマークです。けれど部員の体格は普通です。
「だからよく観るんだよ」
「そうだったの」
「まあ体育の時間女の子見ても面白くないしね」
「それってどういうこと?」
「だって。ジャージじゃない」
それを言われました。天理高校では体育の時間は男の子も女の子もジャージなんです。スパッツとかそうしたものはありません。昔からブルマーなんてのもなくてそういう手の変な人達の視線や盗撮を気にする必要はないのです。確かに私はともかく先輩達がそんな格好したら大変なことになってしまうでしょうけれど。これは女の私でもわかります。
「見ても面白くとも何ともないよ」
「随分本音を出したわね」
「嘘は言わないよ」
どうなんだか。それを聞いて心の中で思いました。
「こういうことにはね」
「限定なのね。それにしても湿気が強いし」
次に考えたのはそれでした。
「何かと大変なことになりそうね。汗で」
「蒸すからね。この季節」
自宅生の娘がこう言ってきました。
「水泳だったらよかったのに」
「そうよね。泳ぐのって気持ちいいし」
「そうそう」
「ここのプールって設備いいしね」
また彼が言ってきました。
「雨でも泳げるし」
「水着
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