128部分:第十七話 梅雨ですその六
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第十七話 梅雨ですその六
「それでわからない筈ないじゃない」
「そうだよね。そういえば」
「そうよ。優しくて静かな方よ」
「聞いた話だと結構騒がしいところもあって怖いってことだけれどな」
「そんなのないけれど」
また言われましたけれどやっぱりわからなくて首を傾げます。
「どうしてそんな話になるのかしら」
「俺に言われても」
「他の子もそんなこと言うし」
どういうわけかそうなんです。先輩みたいな優しい方が一緒の部屋でよかったって思っているんですけれど。誤解を受ける人でもないですしそれが不思議です。
「どうしてかしら」
「誤解も広まることがあるからね」
彼は今度はこう私に言ってきました。
「だからさ。仕方ないんじゃない?」
「それでもよ」
私は今度は腕を組んで顔を顰めさせてから首を捻りました。
「先輩がお気の毒よ」
「お気の毒って」
「だってそうでしょ?」
また彼に言います。
「誤解されて。本当の先輩を知って欲しいのよ」
「まあまあちっち」
ここでもう一人いる自宅生の女の子が私に声をかけてきました。
「何?」
「そんなに気にすることはないわよ」
こう言ってきたのでした。
「どうして?」
「だって。誤解なんでしょ」
それを私に言ってきました。
「それだったら。何時か晴れるわ」
「誤解がなのね」
「そうよ。だから誤解なのよ」
これが彼女の言葉でした。
「だってあれじゃない。天理教も最初は随分誤解されたわよね」
「ええ」
明治の頃政府から色々と弾圧されたんです。これは私が思ったことですけれどその内容が言い掛かりみたいなもので。大変だったのがわかります。
「それはね。酷かったわよね」
「そうよね。けれど誤解は」
私はそれでも言いました。
「何時かきっと晴れるものだしね」
「じゃああれなんだ」
彼がここでまた言ってきました。
「その長池先輩への誤解もなんだ」
「私はそう思うけれど」
それをはっきりと言いました。
「だから。本当に優しい人なんだから」
「そうかなあ」
「一度お話してみたら?凄く繊細な人だし」
「いいところばかりだな、何か」
彼は私の話を聞いてこう呟きました。けれど私が見る先輩は本当にそうなんです。二ヶ月同じ部屋にいるからかなりわかっているつもりです。
「長池先輩って。まあ奇麗だけれど」
「そこなのね」
「まあそれは」
その話を振られると困った顔になってきました。彼も。
「気にしないで。スルーってことで」
「スルーって」
「それに奇麗なのはいいことじゃない」
「確かに先輩凄い奇麗な方だけれど」
「それを褒めるのが悪いことなのかい?」
それをまた言ってきました。何か少し居直っている感じです。
「奇麗なの
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