127部分:第十七話 梅雨ですその五
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第十七話 梅雨ですその五
「いえ、別に」
それは否定しました。本当のことですし。
「それはないわよ」
「そうなんだ」
「けれどあれよ」
ここから話すことは本当のことです。何か隠す必要もないことなんでお話させてもらいました。
「男の子のことも結構話すわね」
「そうか、それでなんだ」
「まあそうかも。男の子のことならあれよ」
これはかなり重要です。東寮には言うまでもなく一年生から三年生までが揃っています。つまり全部の学年が揃っているわけです。それはつまり。
「全部の学年の話になってるから」
「全部の学園なんだ」
「そうよ、全部を」
それをまた伝えます。
「私はまあ。聞いてるだけだけれどね」
「じゃああれなんだな」
彼は私の話を聞いて腕を組みました。それから考える顔をしながらの言葉になりました。
「俺のことだけじゃなくてクラスの皆のことも」
「全部のクラスの男の子の話になってるわよ」
「誰がいいか誰が悪いかかな」
「まあそうなるわね」
女の子が集まれば何のお話をするか。それはもう言うまでもありませんよね。女の子だって人ですから。男の子のことが気になるんです。
「それで先輩も知っておられたのよ」
「そうだったんだ」
「それにあれじゃない」
もう一言言い加えました。
「あれって?」
「クラスの徽章でわかるじゃない」
それを教えさせてもらいました。天理高校も徽章で学年やクラスがわかるようになっているんです。私もそれをよく見て何処の誰かチェックします。
「だからよ。わかったのよ」
「千里ちゃんと同じクラスなんだって」
「そういうことね」
自宅生の女の子がここで私の言葉に頷いてくれました。グッドタイミングです。
「よく考えたら名前以外はすぐにわかることね」
「そうよね。ただ」
それでもふと気付きました。あることに。
「先輩顔まで知っていたんだ」
「チェック深い人なんだな」
その知られていた彼自身の言葉です。
「男前は逃がさないって?」
「馬鹿言いなさい」
自宅生の娘の容赦ない突込みがすぐに入りました。切れ味も見事なものです。
「たまたまでしょ。悪事で有名でなければ」
「そうかね」
「そうよ。長池先輩のことは私も聞いてるけれど」
彼女も何気に。情報が早いです。
「奇麗な人らしいわね。怖いっても聞くけれど」
「怖くないわよ」
それは私が否定しました。
「凄く優しい方よ」
「そうか?」
「そうよ。何か誤解されてるっぽいけれど」
「奇麗な人だけれどな」
それは彼も認めていました。とにかく先輩ってお奇麗で。最初見た時はお人形さんみたいって思いましたし本当に芸能事務所からスカウトされそうなんです。
「それでも。冷たい感じがするし」
「そう
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