第四十六話 都の星達その六
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「そやからうち等が声をかけるねん」
「官僚でも任官してませんか」
「矛盾してるっていったらしてるな」
「そこが気になりましたにゃ」
「そやけど今からな」
「関西に入って」
「働いてもらうわ、矛盾は消えるわ」
官僚という職業なのに仕官していないそれはというのだ。
「ほなな」
「今からその人のとこに行きましょか」
「そうするで、ここにおるで」
綾乃は一軒の本屋の前で弥生に言った、それは江戸時代のそれを思わせるものだった。そこに一人の山羊人の女が店長をしていたが。
その女のところに行ってだ、綾乃は声をかけた、
「地空星、谷崎亜紀ちゃんやな」
「こちらではそうなっています」
山羊人の女は礼儀正しい返事で応えた。
「そしてあちらの世界では」
「二年D組やったな」
「そうです」
関西訛りの言葉で応えた。
「それで職業は官僚です」
「その官僚としての谷崎さんに用があって来てん」
「仕官のお話ですか」
「それで来たんやけど」
「私が仕官して宜しいでしょうか」
自信なさげにだ、亜紀は綾乃に応えた。
「仕官して」
「いやいや、谷崎さんの能力を買ってな」
それでとだ、綾乃はその亜紀に笑って応えた。
「それで誘いをかけてん」
「政に、ですか」
「是非な」
「お役に立てればいいですが」
「思いきりやってええで」
「失敗すれば」
「いやいや、失敗を恐れんでしたらええから」
自信なさげなままの亜紀に笑って応えるのは変わらない。
「失敗してもや」
「それでもですか」
「誰も怒らんしフォローもするさかい」
「紫さんがですか?」
「うちも宰相の太宰君もおるし」
それでというのだ。
「失敗なんてな」
「恐れずにですか」
「やっていったらええわ」
こう言うのだった。
「ほんまにな」
「そうですか」
「そやからな」
「関西に入り」
「教育全般をやってもらうで」
「私の考えで、ですか」
「やってもらうで」
「失敗してもですか」
「ほんまにええから、そんな心配は無用やで」
一切、と言う綾乃だった。
「大船に乗ってや」
「その気持ちで、ですね」
「やってや」
「そこまで言われるなら」
「うちに来てくれるか」
「はい」
「そもそもうちは谷崎さんの能力を買って声をかけてるんやし」
綾乃は亜紀の能力のことも話した。
「あっちの世界でも成績優勝、人格円満やん」
「そうでしょうか」
「図書委員で評判やし」
このことを聞いてのことだ、綾乃が言うのは。
「国の教育頼むで」
「自信を以て」
「谷崎さんも神具持ってるやん」
「大日本史と本朝通鑑ですね」
「まさに学問の書やん」
「あれは知力と政治力をめっちゃ高めるし」
それでというのだ。
「谷崎さ
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