天使のような子と──
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、何でもないよ」
気になったが、南さんが若干嬉しそうな顔をしていたので何か問題がある訳ではなさそうだ。
着席してからしばらくして、場内が暗くなり他の映画の予告が始まる。恒例の映画予告。特に興味をそそる映画はないなぁと思いつつ流し見。
そして、映画が始まった。それから約二時間、映画に身を委ねることになる。
◆
結果として大いに盛り上がった映画。クライマックスでは場内が感動の渦に包まれ、涙を流している人も少なからずいた。そう言う俺も少し涙を流したのは内緒。南さんも泣いていただろうけど、正直映画に見入ってて気にする余裕なんてなかった。
「映画、とっても面白かったね!」
「ああ。高評価の理由が分かったよ」
映画館を出た俺と南さんは、とある街道を歩いている。話題に出てくるのはもちろん映画の感想。『あの王道的な展開が人気の所以なんだな』とか『作画もすごかった』とか、面白かった故に次々と言葉が出てくる。
「そういえば、お昼は何処で食べよっか?」
「ああ──そうだな」
気が付けばお昼時になっていた。昼飯を食べる店も事前にしっかり調査して決めてある。南さんならきっと気に入ってくれる筈だ。かなり評価の高い店で、お昼時にはかなり混み合うという。そろそろ行かないと待つことになってデートの予定が狂ってしまう可能性もある。
「近くに良いレストランがあるんだけど、そこでいいかな?」
「うんっ、いいよ!」
◆
「あー美味かった」
「そうだね。お店もオシャレで気に入っちゃった!」
「そっか、それなら良かった」
昼食を食べ終えた俺達は、再び街道を歩いていた。隣を歩く南さんはかなりご機嫌な様子。それ程あの店が気に入ったのだろう。俺にとってもお気に入りの店だからこっちまで嬉しくなってくる。
ちなみに俺がナポリタン、南さんがカルボナーラを食べた。……食べさせ合いっこをしようと意気込んでいたけど、ヘタレな俺には結局出来ませんでした。だって南さんに引かれたらイヤだし。
「それで、この後はどうする?」
時刻は午後1時14分。まだまだデートの時間はある。というより、寧ろこれからが本番だ。
自分も相手も楽しむデートということを意識して考えたプラン。次の予定は──
「カラオケなんてどうかな?」
「うん、もちろん! 今から楽しみだなぁ!」
「よかった。この先にあるからこのまま歩こう」
それにしても南さん、本当に小さなことでも一つ一つのことで喜んでくれるからかなり気分が良い。この喜び具合から建前や演技などではなく、正真正銘の本心ということが分かる。
ふと、南さんの手が目に入った。俺の手よりも小さく、見るか
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