天使のような子と──
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な。
「ま、またそうやって神崎くんは……! で、でも嬉しい……かな。ありがとう」
「お、おう……」
俺の言葉を境に、無言の時間が訪れる。やっぱり気まずくなってしまった。何とも幸先の悪いこと。デートの最初からこの様子とか、先が思いやられる。
だが、こんな所でへこたれている場合ではない。今日は俺が南さんをエスコートするんだ。
「さ、出掛けようか。時間が勿体無い」
「う、うん、そうだね。最初はどこ行くの?」
「まずはベタだけど、映画なんてどうかな? この映画なんだけど……」
予め用意しておいた映画のチケットを懐から取り出し、南さんに見せる。
「うん、いいよ! 私も見たいと思ってたんだ!」
「そっか、良かった。じゃあ───行こうか」
◆
今日のデートプランは全て俺が考えた。……といっても翔真にアドバイスを貰いながらではあるが。ただでさえデートに誘ったのが南さんなのに、プランまで任せてしまったら男である俺の示しがつかないというもの。彼女もそれで承諾してくれた。
『自分や相手だけが楽しめるようなプランでは駄目だ。自分と相手、両方が楽しめるようなプランじゃないといけない』
──という我が親友の言葉を参考に、綿密なデートプランを立てた。
まずは映画。ということで10分程度歩いた俺達は映画館の前で並んでいた。開演まで時間はあるが、長い行列が出来ていた。
「神崎くんもまだ見てなかったんだ」
「ああ、見ようと思っても時間がとれなくてさ」
「私も。しかもμ'sの練習もあるから尚更ね」
「それは確かに無理だなぁ」
今日見にきた映画は、簡単に言えば男女の恋を描くアニメ映画だ。アニメということで、オタク向けの映画と思いきや、老若男女問わず全ての層から絶大な評価を得ている映画だ。最近では海外でも放映されているらしく、そちらでも同じく高評価の嵐だという。
「実は友達がさ、この映画見る前は少しディスってたんだけど、見た後は手のひら返したように俺に熱く語ってきてさ。それで興味を持ったんだ」
「ということは、そんなに面白い映画なんだね」
「ああ、そうみたいだな」
「今度は穂乃果ちゃんと海未ちゃんも誘って来てみようかな。2人も見たい見たいって言ってたから」
「それがいいよ」
そんなことを話していると、開演の時間がやってきた。ぞろぞろと場内の中に入っていく人々。俺達もそれに続く。
中に入り、辺りを見渡す。殆ど席が埋まった状態だったが、奇跡的に端の方に丁度2つ空き席を見つけた。それも一番映画が見やすい場所。先に俺が座り、端に南さんを座らせる。
「あっ……」
「ん? どした?」
「……ううん
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