天使のような子と──
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それに迎えに行くというシチュエーションも楽しめるし一石二鳥だ。
さあ、後はインターホンを押して南さんを呼び出すだけ。それだけ──なのだが中々それが出来ずにいた。緊張は勿論のこと、南さんのご両親が出た場合にどんな風に話すか、門前払いされないか、とにかく色々な要素が俺を足止めしている。
だが、傍から見れば俺は人の家の前でウロウロしている変人だろう。幸い通りには誰もいないが、いつ人が通るとも分からない。下手したら通報され、デートが台無しになる可能性がある。
──それを考えると、自然に手が動いていた。
えらく無機質なインターホンの音が耳を通り抜けてゆく。ああ、遂にインターホンを押してしまった。動悸が今までにないくらいに激しくなる。
『はい』
声を聞いた瞬間、緊張が和らいだ気がした。インターホン越しだが、それでも分かる可愛らしい声──つまり、南さんが出てくれたのだ。
「あ、かかか、神崎です! 南さんをお迎えに上がりました!?」
『神崎くん! 待ってて、今行くね!』
……緊張のあまり、吃ったり意味不明なことを口走ってしまった。何だよお迎えに上がりましたって。お姫様に使う言葉じゃあるまいし……。ただ、南さんがあまり気にしてないようなのが吉か。
「おはよう、神崎くん!」
「ああ、おはよう南さ──」
ドアを開け家の中から南さんが出てくる。その瞬間、思わず言葉を失ってしまった。
「神崎くん? どうしたの?」
「あ、いや、えっと……」
服装は勿論のこと、特に目を引いたのは髪型だ。いつもの髪型ではなく──特徴的なトサカはそのままだが──後ろで赤いリボンで一つにまとめていた。俗にいうポニーテールというやつである。
裾に黒いレースがついた、白とライトブルーのワンピースの上にクリーム色のカーディガン。茶色のブーツによってふくらはぎまで覆われている足。それが、今日の南さんの服装だ。
──可愛い。可愛すぎる。いや、はっきり言って可愛いという言葉だけでは物足りない。そこらの下手なモデルよりも可愛いと思う。思えば、南さんの私服姿を目にするのがこれが初めてだ。それもあってか、すっかり俺の目は南さんに釘付けになっていた。
……ここは正直に言うべきだろうか。また気まずい雰囲気にならないか不安である。しかし、デートの始めに服装を褒めることは定番だと翔真から聞いた。ならば──
「神崎くん、あの、そんなに見られると──」
「か、可愛いな」
「……へっ?」
「その服、南さんにすっごく似合ってる。ほんとに可愛いよ」
「……っ!」
みるみる内に顔が赤くなってゆく南さん。だが彼女だけでなく、俺の顔も赤くなっているだろう。まだ可愛いって言うのは慣れない
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