エメラルドのペンダント
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川には真珠が流れており、木には宝石がなっている
昔、そう歌われたのがシャルロン。北ヨーロッパの小さな町。
その小さな町の小さな道を、必死に一人の女の子が駆けて行った。
彼女の名は、グリッター。ケリホール家の一人娘。
とは言っても、ケリホール家は、この町で一番の貧乏であった。しかし、そのケリホール家に今住んでいるのは、足腰が弱く、肺炎にかかってしまった婆さま一人と、グリッターだけであった。
「ビスクルおじさん!」グリッターは、一つの家の扉の前で、精一杯叫んだ。
「なんだい、朝から、町一番の貧乏娘が何をしに来た。」扉を開けて出てきたのは、町でただ一人の製薬師、ビスクル・トライラである。
「お願いです、うちのおばあちゃんが、とても苦しそうなのよ。呼吸を楽にするお薬を頂戴。」「だから?金はあるのかい。」
グリッターはもどかしそうに顔をしかめ、「お金はいつか返すって言ってるわ!」とせがんだ。
「だから、ね?おじさま。」さすがに、子供相手にそこまでむきになる必要はないか。そう諦め、ビスクルは「ちょっと待っておいでよ。」と作業部屋に引っ込んだ。グリッターは目をキラキラとさせ、今か今かと薬を待つのであった
「おばあちゃん!お薬、もらってきたわ。」
ハアハアと息を切らしながら、グリッターは苦しそうな婆さまに向かって言った。すると、婆さまは少し微笑み、「グリッター、お前に大事なお話をしようかね。」と囁いた。「私にとっては、おばあちゃんが一番大事!!」「これは、私にとっても大切なことなのだよ。」するとグリッターは、半泣きの顔を伏せ、ぐっと黙った。「グリッター、突然だが、...お前は、ケリホール家の実の子供ではないんだよ。」その言葉は、まだ9歳の、幼い心には重すぎた。グリッターは立ち尽くし、婆さまを凝視した。
「今...え?じゃあ、私が赤ちゃんの時に事故で亡くなったと聞いた父様母様は...」「お前の実の母親と父親は、生きている。」
「でも!!私の母様は、おばあちゃんだわ!!」グリッターは、嗚咽を漏らしながら、婆さまに抱きついた。
婆さまは、グリッターの、絹のような金髪を愛おしそうに撫でながら、「グリッター、お前の母親から手紙をもらったよ。」と言った。「モンテペスへ行きなさい。」「モンテペス!ここの町からは、遠い遠い所でしょう?」「ああ。でも、お前ならいける。」「嫌だわ。私、おばあちゃんとずっと一緒よ。」「天国までもかい。」
唐突な言葉に、グリッターは婆さまを見上げた。気づけば、婆さまはとても顔が青い。「大変!おばあちゃん、お薬を...」「その必要はない!」婆さまは、鋭くグリッターに言い放つ。「でも...!」「最初から、運命って物は、決まっているんだ、グリッター。それより...」そう言い、婆さまは首にいつもかけていたペンダント
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