第37話 事情聴取と勘違い
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た男の子をクローゼに返した。
「クローゼ姉ちゃん!」
「クラム君、良かった……もう大丈夫だからね」
「ふん、最初からそうしときゃいいんだよ」
アガットはすました顔でそう言いながらこっちに振り返った。
「どこぞのひよっこが放火事件を調査してると聞いたがやっぱりお前らだったか」
「な、何よ。だいたいどうしてあんたがここにいるのよ」
「お前らがあわててこっちに向かっていたのを見かけただけだ。おい、坊主」
アガットはクローゼに抱き着いていた男の子に声をかけた。
「な、なんだよ……?」
「一人で乗り込んで来るとはなかなか気合の入ったガキだ。だが少々無茶をしすぎたようだな。あんまり家族には心配をかけるんじゃねえぞ」
「え……?」
「……クラム」
そこにテレサ先生とフィルが現れてクラムと呼んだ男の子に近づいていった。
「せ、先生!?それにフィルまでどうしてここに……」
「ん。そっちの赤髪のお兄さんに事情を聴いてここまで来たの」
「クラム。あなたという子は……」
「こ、今回はオイラ謝んないからな!火をつけた犯人を絶対にオイラの手で……」
「クラム!」
テレサ先生は大きな声でクラムの名前を呼んだ。クラムは怒られるんじゃないかと思ってビクッとしたがテレサ先生はスッと屈むとクラムと目線を合わせた。
「ねえ、クラム。あなたの気持ちはよく分かります。皆で一緒に暮らしたかけがえのない家でしたものね。でもね、あなたが犯人に仕返ししても燃えてしまった家は元には戻らないわ」
「あ……」
「それにあなたにもしもの事があったらどうするの?家は作り直せてもあなたは一人しかいないのよ?私にはそっちのほうが耐えられないわ。あなたたちさえ無事なら先生はそれだけでいいの。だからお願い、危ない事はもうしないで」
「せ、先生……うう、うううううう……うわああぁぁぁぁん!」
クラムは大きな声で泣き出してテレサ先生に抱き着いた。
「グスッ……こういうのあたし弱いのよね……」
「うん、クラム君が無事で本当に良かったね」
「はい……」
あたしたちは二人の光景を見てつい感慨深くなっちゃった。
「チッ、これだから女子供は……お前ら、坊主どもを連れてギルドに行ってな。俺はこのバカどもが犯人かどうか締め上げて確かめておくからよ」
「わ、わかったわ……」
ここはアガットに任せておいた方がいいわね。あたしたちは倉庫を後にしようとしたんだけどアガットが何かを思い出したようにフィルに話しかけた。
「おい、そこの銀髪のチビ。お前、フィルって呼ばれてたよな?」
「……そうだけど何か用?」
フィルは警戒するようにアガットを見つめ
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