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レーヴァティン
第四十八話 バイキングの戦いその一

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                第四十八話  バイキングの戦い
 船で湖を進みつつだった、久志はこうも言った。
「馬に乗っている時とは別でな」
「船は船で、ですね」
「ああ、いい感じだな」
 起きてすぐのことだった、久志は湖の彼方にある朝日を見つつ順一に話していた。朝日は今まさに昇ろうとしているところだ。
「これはこれでな」
「面白い旅ですね」
「馬だと寝ている時は進めないけれどな」
 馬も歩かないからだ、このことは当然である。
「けれどな」
「船は寝ていても進みますからね」
「それもいいよな」
「ですから船で進んだ方が速い場合もあります」
「いつも進めるからな」
 昼も夜もだ。
「だからな」
「そうです、そしてだからこそ船での交通も栄えているのです」
「こっちの島でもな」
「しかも多く運べますし」
 ものや人もとだ、順一はこのことも話した。
「馬よりも」
「だよな、馬もかなり運べるけれどな」
「その馬よりもです」
 さらにというのだ。
「船は運べます」
「じゃあ貿易や戦の時もな」
「はい、船を使えば」
 馬を使う場合よりもというのだ。
「多くのものを運べます、ですから」
「よし、じゃあな」
「旗揚げした時は」
「船を効果的に使うこともしていくか」
「そうしていきましょう」
 是非にと話してだ、そしてだった。
 順一は朝食の魚を食べた、鱈の干物この船に乗り込んだ時も持ち込んだものだ。その干物を食べてこうも言った。
「それでなのですが」
「ああ、これからな」
「おそらく今日のうちにです」
「七人目に会えるな」
「そうかと。術で遠くを見ていますと」
「船があったんだな」
「一人のバイキングが乗る船が」
 それが見えたというのだ。
「見えました、おそらくそのバイキングが」
「七人目か」
「そうかと」
「成程な、今日のうちにか」
「会えると思います」
「それは何よりだな、しかしな」
 ここでこうも言った久志だった。
「クラーケンの影はなかったみたいだな」
「それは見えなかったですね」
「そうなんだな」
「クラーケンは巨大な身体を持っているので」
 このことは一行もこれまで散々話したことだ、それこそ小島の様に巨大な姿を持っていることはだ。
「すぐに見える筈ですが」
「そのクラーケンはか」
「見えなかったです」
「湖の中にいるんじゃないの?」
 源三はやはり船に持ち込んだビスケットを齧りつつ言ってきた。
「それだとね」
「その可能性もありますね」
「そうだよね、やっぱり」
「この湖は広いだけはないですから」
「深さもあるんだね」
「おそらく最深部は何千メートルもあるでしょう」
「海並だね」
 その深さを聞いて源三はすぐにこう言った。
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