暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン オルタナティブ アナザーハンドレッド
02
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なっていた。
唯一無二の絶対の絆で結ばれていると疑うことすらなかった最高の家族。

家族は父親がクビになるそれだけのことで一夜にして崩壊した。

私と父は壊れ、母は姿をくらました。

もう、どうでも良かった。

気づけば私は父親の登山用の鞄に入っていたサバイバルナイフを持ち、風呂場にいた。

テレビで見たことがあった。
こうすれば楽になれるんだって。

私は知識が無いためかその勢いを最大にして己の左腕に突き刺した。

これが初めて行った【処理】の瞬間だった。


夢を見ていた。

小学生から中学生になった少しあとまでのつい最近までの事実をフラッシュバックするような夢を。

僅かに寒気で身震いして頭を右に傾けると、ツインベッドの隣にはキリト…桐ケ谷和人が寝息を立てていた。

彼のしなやかな髪をそっとはらうと、その奥に女の子のような端正な顔立ちが覗く。

その寝顔に癒されて満足気に微笑む僕の顔はいったいどうなっていることやら。

喉の乾きを感じてベッドから起き上がると、キリトが「んっ…んんぅ…」と寝返りを打つ。

そんな仕草一つにさえ庇護欲をそそられる。
彼は何か特殊な才能を持っていそうだなと感じる。

あのあと倒れてからここまで運んでくれたのだろう。
そして恐らくアスナ副団長あたりにでも頼んだのか、可愛いふわふわした寝間着をユーリは羽織っていた。

「ありがとう。キリト」

「あぁ」

思いもよらぬ返答があり、体がビクリと宙に浮く。

「起こしちゃったかな?」

「今寝返りうったところでユーリの声が聞こえた気がしたからさ」

「そっか」
「ああ」

「ごめんね」
「謝ることじゃないよ。それに君の境遇を知ってしまったからには放っておけるわけないだろ」

彼はそう言って体を捩り僕の顔を覗く。

やっぱりそれだけなのか。
と溜め息をつく自分に僅かながら驚きを覚える。

僕は彼にそれ以上の何かを求めているのか?

思考がそこへ至ると、己の口が自身の意識を越えて動いた。

「…ねぇ、キリト」
「ん?」
「キリトはそれだけなの?」
「へ?えっと…それはどういう…」

ガバッという掛け布団を振り払う音を伴ってキリトの腹の上に跨がり、彼の双肩に両手を置いて自らの体重を預ける。

いわゆる押し倒したという態勢にキリトが怯んでいる。

「こういうことだよ。かずと」
「な、あの、そのっ…ユーリ!?」
「ユーリじゃなくて百合…でしょ?」

自らが振る舞える最大の色気を出して自分の顔を彼の顔に近づける。

「ちょっ、百合!?」
「ふふっ、一杯いいことしてあげる」

そう言って固まった彼の唇に自らの唇を近付けている所でインスタント
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