暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン オルタナティブ アナザーハンドレッド
02
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うっ…癒えたはずの傷を突っつきやがって。」

「自業自得だよ。」

先程彼から言われた言葉をそのまま返す。とキリトは苦笑いしながら言った。

「ま、まぁ、いい経験が出来たと思えば、な。」

な。じゃないよ。な。じゃ。

「はぁ、それはもういいよ。それより本当に平気かい?」

僕が本気で心配しているのを感じ取ったのか、こういうときキリトは嘘をつかない。

「大丈夫。ちょっと人酔いしただけさ。少し休めば治るだろ。」

互いに部屋を分けるか提案したが、金銭的問題もありこれまで通り割り勘で一部屋に泊まる。

「キリト、君はシャワー浴びないのかい?ってまぁ、いつも聞くけど。」

「いつも通りで。」
「りょーかい。」

この世界でなく向こうの世界だったら不衛生過ぎて一緒の部屋にすら居たくないのだが、ここは仮想の世界だ。

現実世界で【処理】を行った左腕も痕跡は全くない。

ショートカットの髪をシャンプーでほぐしながら鼻歌が自然と漏れだす。

こんなデスゲームに囚われていても、僕は幸せだった。

大好きな親友と共に冒険し、この世界のクリアを目指すことに充実を覚えていた。

自らの青白い仮想の肌を撫でる。

華奢な肩をブルりと震わせてお湯の温度をやや上げる。

鏡に映る自らの顔に手をあて、いつの間にかボソりと呟いていた。

「なんだよこの再現率…」

痩せ細った体、髪の色、己を見つめる瞳。
僕は自分の顔が嫌いだった。

この顔が原因でかつていたリアルではイジメを受けていた。

男女構わず僕を凌辱し、暴力をふるい、そして終いには…。

思い出しただけで寒気が走り、吐き気を催す。

汚い汚い汚い汚い汚い汚い汚い汚い汚い汚い汚い汚い汚い汚い汚い汚い汚い。

汚い手で僕に触れるなああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!

「あああああああ!!!!!あああああああああああああああああああああ!!!!!」

叫びながらシャワールームを全裸で飛び出す。

だが、僅か数歩でその場に崩れ落ちる。

それを見たキリトが色々な意味で面を喰らっていたが、すぐに駆け寄ってくる。

「ユーリ!何があった!!?」

近くに落ちていたタオルケットで僕を覆い、一瞬躊躇ってから後ろから抱き締める。

「かっ、かか…かぁ、かっ……。」

過呼吸になる僕の手をキリトがギュッと握る。

「いるぞ、俺はここに…お前の側にいるぞ。」

耳許で熱い吐息が静かにかかる。それは喘いでしまいそうになるほどに心地好かった。

キリトの言葉に、そして握られた手に僅かに安堵してタオルケットの隙間から覗くように後ろを振り返る。

「か…かずと…」
「百合…」
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