暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン オルタナティブ アナザーハンドレッド
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思い至ったように三人が顔を見合わせて互いに頷きあう。

僕には何が何なのかわからず、あたふたと困惑するしかなかったが、答えを明かすようにしてキリトが言った。
「い、いいか。落ち着いて聞けよ。」

と、さっきあれほど動揺していた彼が僕の双肩に両手を置き、諭すようにして続けた。

「ユーリが言ったように、ヒットポイントに関する操作のみを特定して、見ることなしに短時間で操作を行うことは無理とは言い切れないが、99%ないに等しい。この世界では色々ややこしい設定があるからな。つまりは…」

彼はそこでゴクリと喉を鳴らしてから続けた。

「つまり、あの短時間、この世界で唯一奴がもつゲーム運営管理権の全権限を、俺たちと別れるまで放棄していた可能性が高い。」

彼の言葉はそうとうに動揺しているのかぶつ切りにして語られるが、そんなことなど意に介さなくなるほどの衝撃を受けたことを多分僕はこの先この世界をクリアすることが出来て、生きていくことが出来たとしても忘れることは出来ないだろう。

「あ、ああ…。」

意識の枠から外れたとこで、僕の喉から掠れた声が漏れるのが聞こえ、頬が紅潮して熱くなり、鼻の奥がきな臭くなったあと視界がぼやけるのを感じた。

僕が、僕がやったのか。

自分ですら推し量ることの出来ない数多の感情、特に後悔が僕の心を酷く蝕んでいく。

僕があの時キリトの攻撃を防がなければ。

あるいは団長がメニューウインドウを開いたその時にキリトに伝えていたら。

そう考えるだけでいたたまれなくなって、自らを罰したいという黒い衝動に襲われ、気付けばその場から全速力で逃げ出していた。

溢れた雫は宙を舞い、滑らかな曲線を描いたのちに地を湿らせた。

振り向き様に見たキリトは片腕を力なく水平に上げ、呼び止めるか否か躊躇している表情で、足が地面に根を絡ませていた。

さよなら。僕の親友。

キリト。

「キリトくぅーん。」

剣呑な表情のアスナが俺の顔を下か ら見上げる。

エギルも冷ややかな目で俺を見ていた。

「あれ、あれは俺が悪かったのか? いや、ちょっと待て。確かに肩を掴んだところは俺に非があったと認める…というかそれは勿論なんだが…今のに関してはさすがに反論させて貰うぞ。」

「君に反論の権限なんてあったかしら?んー?」

色々な意味で怖いですよ、アスナさん。とは言えずに「すみません。」 と萎縮してしまう。

「まぁ、あれだな。キリトはもっとデリカシーに気を配るべきだな。」

とエギルが言いながら俺の背中をバ シバシと叩く。
ペインアブソーバー抜きで普通に痛いんだが。
と言いかけたところでアスナが

「あれ?」と頓狂な声をあげた。

「そういえば、全権限を放棄し
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