第23話『銀閃と鬼剣のクロスコネクト〜再戦のドナルベイン!』
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恐らく、独活の大木たる巨漢のドナルベインを餌にして、凱の力を露呈させるのがテナルディエの狙いだろう。
アルサスを放棄する代わりに、凱の基礎能力の一端だけでも拾い出そうとして。
当然、魔王の思惑は勇者に見抜かれている。
無論、勇者も魔王の目論見に気付いている。
謀略思考と戦闘情勢の目まぐるしい交錯が続く。
疾風怒涛のような連続攻撃を止めたドナルベインは、己が優位性を誇示して半ば満足したのか、次のように豪々と述べた。
「慈悲深いオレ様が!一度だけ機会をくれてやるぞ!命が欲しければ泣いて這いつくばり、許しを乞え!」
醜い誘惑。魔王ならもっと絶妙な瞬間を狙って勇者の心を射抜く。
命乞い――癇に障るような余計な気遣いが、凱の決意を硬貨させてしまった。命乞いするのは貴様のほうだと、青年の獅子の如き瞳がそう訴える。
「――――断る」
凱の返答は勇者らしく、簡潔を極めた。
「ならば!新生したオレ様の力を思い知りながら――くたばりやがれ!!!」
先ほどの荒々しい嵐とは異なる一陣の風が激しく吹きつける。
アルサスの大地を這うように舞う瘴気。巨木のようなドナルベインが動けば、周囲を薙ぎ払う『雨嵐?コーラルレイン』となる。
まさに自然災害の嵐と化したドナルベインは、今度こそ確実に凱を仕留めようと、『竜巻』へ昇格して猛襲する!
(――速い!)
はらり。
紙一重より切迫した――『髪』一重の一撃。
一枝斬られた毛を舞いながらも凱は、ドナルベインの再発する瘴気質量の推測を開始した。
初手の加速度なら、もしかしたら鬼剣のノアと見劣りしないかもしれない。
瞬間最高加速度は物理表に換算してマッハ2。
ヒトは獲物を捕捉するために音の行動をとらえることはできても、身体は音より速く動けるようにできてはいない。
知覚――認識――行動に移すまで、ほんの数フレームのズレが生じるはずだ。
だが、技のキレがなくとも、ドナルベインの猛襲が脅威であることに何ら変わりはない。
「遅い!遅すぎる!銀閃の勇者シルヴレイブ恐れるに足らんわ!」
「――――ちぃ!」
あらゆる悪態が凱の舌を撃たせる。
手こずる故に……ではない。そんなおもちゃのような力でここまで無邪気に喜べるものなのか?ドナルベインの神経を疑った為にだった。
獅子の飛脚が90度反転――。
一足切り返した時、ドナルベインの加速斬撃が凱をとらえる!
「ガイ!?」
「ガ
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