第23話『銀閃と鬼剣のクロスコネクト〜再戦のドナルベイン!』
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けようと考えていた。
しかし、先ほどの凱とドナルベインの競り合いで確信した。
誰に与えられたか知らないが、力を増したことで調子に乗りすぎて体さばきがバラバラだ。
あそこまで単細胞な奴なら、なおさら自分の太刀筋――煌竜閃を披露したくない。
その理由は、得体のしれないテナルディエの視線??『魔王の瞳』を察知した為であった。
魔王の右目が、ずっと凱とドナルベインの戦いを観察している。
魔王の左目が、ずっとシーグフリード達の動向を監視している。
身の振る舞い方。動悸。投光照明が促す瞳孔反応。立ち位置。筋肉の縮退と触覚挙動。
まるで、凱やシーグフリードたちを実験動物とみなし、アルサスそのものを単なる研究室として扱っている。
目前で戦闘中の凱と同長身の銀髪鬼には、この既視感を判定していた。
初代ハウスマンの研究室。シーグフリ−ドが異常交配の産物として生を受けた実験場。
ここで不用意に技を披露するならば、目を通過して必ずや魔王の『経験値』となり研究資料になる。
(確か獅子の毛皮はいかなる武器をも跳ね返すというが……おそらくテナルディエは凱の銀閃アリファールの太刀筋を見定めるためにドナルベインを仕掛けたのだろうな)※『ネメアの獅子の毛皮』を参照
『銀の逆星軍』総大将――魔王が生業のフェリックス=アーロン=テナルディエ。
またの名を『百獣の魔王』レグヌスと呼ばれる。
だが、彼の異名は何も獅子のごとき鬣をあしらったフルセットの髭のような外見だけにとどまらない。
あらゆる武具を力のみで打ち砕く、40年絶えず鍛え上げた肉体を持ち――
あらゆる獲物を眼力のみでとらえる、40年蓄えた知恵の弾薬庫がある??
双方融合させた『理論武装』。こちらの手の内を明かしてこれ以上身を固められたら元の子もない。
(――――――フェリックス!)
既に凱の視線はドナルベインではなく、テナルディエ本人に向けている。
神速対神速の領域の刹那、相対速度的にドナルベインの斬撃を潜り抜けながら、シーグフリードと視線を合わせる。
それは、単なる意思疎通と確認にすぎなかったが、二人にはそれだけで膨大な情報を受理するには十分だった。
(やはり、ガイ自身も知っているか)
急激な圧迫感。獣が獲物を捕らえる時、眼力にて体の自由を奪い牙で仕留めるという。
戦場の片隅で感じ取った違和感は、他ならない魔王テナルディエのものだった。
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