第23話『銀閃と鬼剣のクロスコネクト〜再戦のドナルベイン!』
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りもあるような。二つ振りの大剣。
程よいほどに血と肉と油は程よく刀身に染み込んでいて赤茶けている。
はたしてどれだけの人間の命を奪ってきたのだろうか。
食い殺してきたことで腐食した刃こぼれは、まるで『剣の齲蝕』??人間で言うなれば『虫歯』以外に適切な表現が浮かばない。
刃立ちの粗悪なドナルベインの魔剣のような大剣と、彼自身を野ざらしにしておけば、罪のない人々は次々と殺されてしまう。
それだけは、何としても阻止しなければならない。
たとえ、『不殺』という、誓いの檻を破ろうとも。
―――絶対に許さん!!ドナルベイン!!―――
爆発する感情に、凱の怒りが大気を怯ませる!
猛る獅子の気迫が波濤となって、アルサス観客者に放たれる!
フェリックスの御身を保護する近衛兵が、一瞬にして硬直する!
恐らく、怒りに打ち震える凱の姿が、かの『百獣の王』の逆髪を思わせたのだろう!
それが凱達を取り囲むテナルディエ兵に、二の足を踏ませている!
あと一歩足を運び邪魔だてするならば、銀閃の牙が容赦なく食い殺してくれる!
銀閃の柄に埋め込まれし紅玉の光と風がそう告げている!
対してフェリックス本人は全く動じない。魔王の肝は勇者の攻撃的な気配に対しても安定している。
魔王フェリックスが勇者ガイに差し向けた目的は、ドナルベインを餌にして獅子王凱の本性を引き出すこと。
以前のドナルベインならいざ知らず、現在の実力は『銀の逆星軍―シルヴリーティオ』の中級付近には位置する。
『不殺』として竜具アリファールを振るう凱に、殺戮剣の使い手であるドナルベインをぶつければ、凱の心に吹き込まれた憎悪の火種が殺意に咲き変えるという、望む反応が返ってくると考えていたのだ。
「まさかそんな奴にまで情けをかけるとは思わないが――」
いくらお人よしの究極型たる凱とて、ドナルベインを生かすことはしないはずだ。
ただ静かにシーグフリードはただ戦いの行く末を見つめている。この男が勇者に『立ち止まった』ままなのか、王に『立ち戻るか』を見届けるために。
一方――そんな凱の姿を見つめている少女たちは……
「……ガイさん?」
意識せず口にした、栗色の髪の青年の名前。
同じ栗色の髪の少女の前へ、青年は無言のまま躍り出る。
ティッタの胸に不安の一矢がよぎる。安心感をもたらしてくれた大きな背中で
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