第二十一幕:ふたつの虹のふたつの夢
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、通学中の列車の中、お互いに存在は知っていたけど、凪咲さんは車内で本を読んでいる事が多かったので、二人が話す機会は無かった。そんな列車の線路のように、等間隔状態のままの二人を引き寄せる出来事が起こる。
凪咲さんは、いつも降りている駅で降りようと列車の扉付近に居た。扉が開きかけた時、戸袋内に鞄が挟まり、扉が少ししか開かない。周りの人は、助ける事無く、ささっと他の扉へ向かってしまう。凪咲さんが立ち往生している間に扉は閉まり始め、鞄が戸袋から外れるが、そのまま扉は閉まりそうになる。その時、一人の男の人・・・直弥さんが閉まりかけた扉の間に腕を入れ、押さえる。しばらくすると、扉が再び開く。
直弥さんの「降りて! 早く!」という言葉に、凪咲さんは慌てて降りたが、咄嗟の事でお礼が言えなかった。凪咲さんは翌日、直弥さんにお礼を言う。通学中、何度か見かける事があった二人・・・凪咲さんから話しかけたのは、この時が初めてだった。直弥さんは、列車の事に詳しく、将来は列車の運転士になりたいらしい。それゆえ、列車の扉の仕組みも詳しく知っていたようだ。
−−−−−当時の回想1−−−−−
凪咲「昨日は、ありがとうございました」
直弥「え!? あ、昨日戸袋の・・・」
凪咲「手・・・大丈夫でしょうか?」
直弥「手?」
凪咲「はい。扉に挟まれてましたので・・・その・・・すみません」
直弥「あ、扉はそんなに強く閉まらないから大丈夫!」
凪咲「そうなのですか?」
直弥「列車の扉は、空気の力で閉まるからね」
凪咲「え? 空気?」
直弥「扉が開く時に、空気が抜ける音がすると思うんだけど」
凪咲「そう言われれば・・・お詳しいのですね」
直弥「まあ、一応、将来は列車の運転士志望だから!」
凪咲「まあ!」
直弥「あ、僕は水風直弥と言います」
凪咲「私は、星丘凪咲と申します」
−−−−−−−−−−−−−−−−
凪咲「ナオが鉄道の事に詳しかったから助けてもらえた。そうでなかったら、ナオとの出逢いはなかったと思うし、七夏とも・・・・・ですから、ナオの鉄道好きには感謝しています!」
時崎「そうだったのですね」
凪咲「ナオは運転士には、なれなかったのですけど・・・」
時崎「え!?」
そう言えば、さっきのお話で、直弥さんは「列車の運転士になりたい」と話してくれたけど・・・。
凪咲「色覚特性が合わなかったの・・・」
時崎「それって・・・」
色覚特性・・・色の見え方の特性の事だが、直弥さんは色が多くの人と異なって見える特性の持ち主なのだと理解した。「色盲」という事になるのだが、あまり好きな言葉ではない。確か、男の人で20人に一人、女の人で500人に一人くらいの割合だったと思う。
凪咲「ナオの色の見え方は
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