第二十一幕:ふたつの虹のふたつの夢
[4/11]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
「??? 柚樹さん?」
時崎「な、なに?」
七夏「こうして、列車をもっと繋いでみますね☆」
時崎「え!? 列車!?」
七夏ちゃんはヘラのような物を線路に置き、機関車の後ろに列車を繋げてゆく。「繋ぐ」って「手」ではなく「列車」の事だったのか・・・。まだまだ七夏ちゃんの言動が読めていない・・・というよりも俺が誤解していただけか・・・。冷静に考えると「ヒント」はあった。七夏ちゃんは「倒置法」で話していた。それに気付けるようになる事が、七夏ちゃんを知る事に繋がると思う。
七夏「〜♪」
時崎「それは、客車かな?」
七夏「はい☆ これは、お父さんが乗ってます!」
七夏ちゃんはそう話すと、客車の一番後ろに、とても小さな車両を繋げた。
<<時崎「臨時とか出発って、七夏ちゃんのお父さんって、何のお仕事なの?」>>
<<七夏「えっと、車掌さん・・・です☆」>>
<<時崎「車掌さん・・・」>>
<<七夏「列車の一番後ろに居る人です」>>
<<時崎「なるほど」>>
以前、七夏ちゃんが話していた記憶が甦る。
時崎「その小さい車両は、車掌車かな?」
七夏「はい☆」
時崎「七夏ちゃんのお父さんの仕事場なんだね」
七夏「くすっ☆」
七夏ちゃんは列車を動かすコントローラーのつまみを再び回す。小さな車掌車から、ふたつの赤い光が灯る・・・。
七夏「柚樹さん♪ どうぞです♪」
先ほどと同じように、七夏ちゃんと一緒に列車を動かす。長くなった列車は先程よりも「らしく」なり、車掌車の赤い光に懐かしさを覚えた。今、七夏ちゃんが手を添えてくれているのだが、先程よりは落ち着いていて、七夏ちゃんの温もりがよりはっきりと伝わってくる事が分かって嬉しかった。俺は再び童心に帰ったかのように走る列車を眺めていた。
時崎「・・・・・」
七夏「・・・・・」
時崎「・・・・・」
七夏「・・・・・柚樹さん♪」
時崎「え!?」
七夏「私、飲み物を持ってきますね☆」
時崎「あ、ああ。ありがとう!」
七夏ちゃんは、飲み物を取りに台所へ向かったようだ。さっきまで七夏ちゃんが手を添えてくれていた感覚が残っている・・・この感覚と鉄道模型とが紐付いてしまいそうだ。俺は、走っている列車を止めて、写真撮影を行う。しかし、距離が近いのか、なかなか綺麗に列車全体を撮影する事が出来ない。
時崎「これは意外と難しいな・・・」
一箇所に焦点が合うと、他がぼやけてしまう。現実の列車撮影では起こらない現象だ。写真撮影をそれなりに行ってきたが、こんな壁があったとは・・・。俺が目の前の列車の撮影に苦戦していると−−−
七夏「ゆっ! 柚樹さんっ!! 柚樹さんっ!!!」
時崎「え!? わぁ!」
七夏ちゃんが凄い勢いで話しかけてきた! とても
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ