112部分:第十五話 中間テストその六
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第十五話 中間テストその六
「別にいいわよ。自分でも買うし」
「うう・・・・・・」
「けれど可愛いのは事実よ」
「そうかしら」
自覚ないんですけれど、それは。
「私だけが言ってるんじゃなくて皆が言ってることよ」
「皆が?」
「そうよ、皆」
こうも言われます。見れば彼女の顔は少し真面目です。
「特に男の子がね」
「自分の顔がそんなにいいとは思わないけれど」
「自分ではわからないものよ」
そうなんでしょうか。自分だからこそわかることだと思うんですけれど。けれど彼女の言葉だとそうじゃないみたいです。何か不思議な言葉です。
「だからちっちはそれには安心していいわ」
「ううん」
頷くことはできませんでした。どうしても実感できないことでしたから。
「そうなのかしら」
「自覚できないならそれでいいけれど。さて」
話が変わりました。
「勉強に戻りましょう」
「ええ、そうね」
また勉強に戻りました。そんな数日間が終わってテストが帰ってきました。結果はとりあえず赤点とは全く無縁で私としても満足のいくものでした。とりあえずはよかったです。
ところが。テストが終わって一息つく間もないんです。何故なら。
「ねえ、今度ね」
「あっ、あれね」
私は用木コースにいます。それで何かと急がしのですがひのきしんが入ったのです。ひのきしんとは強いて漢字で書くと『日の寄進』と書くそうです。簡単に言うとボランティアでの勤労奉仕です。
「おぢばがえりの話が出てるんだけれど」
「えっ、もう!?」
それを聞いてびっくりです。まだ五月なのに。
「まだ五月だけれど」
「それでもよ」
何かもうその話が出ているそうです。何と早い。
「といってもまだ打ち合わせの段階だけれど」
「でしょうね」
「ただ。それに合わせて色々とお掃除するところはあるみたい」
「お掃除って今からなの」
何かそれでも話が異常に早いような。どうなってるんでしょうか。
「倉庫とかだけれどね」
「倉庫を」
「ええ。それでね」
話が動く段階に入りました。
「今日からちょっとお掃除で忙しくなるわよ」
「やれやれね」
話を聞いて少し溜息です。
「ってふそく言ったら駄目なのね」
「そういうこと。是非共やらせてもらわないとね」
「ええ。それじゃあ」
「あっ、あとちっち」
今度は私自体に話が向けられました。
「何?」
「テストどうだったの?」
話はそっちでした。
「できたの?どうなの?」
「まあ一応はね」
こう答えることにしました。
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