【にらめっこしましょ】
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「ネジ兄さん、にらめっこしませんか?」
ネジの家を日中訪れたヒナタは、にこにことそう告げる。
「──?何です、急に」
「にーらめっこしーましょ、笑うと負けよ、あっぷっぷ!」
ネジが怪訝そうにしていようとお構い無しに、ヒナタは勝手ににらめっこを始め、自分の両頬を両手で押し付けるようにして顔面を寄せ唇をタコのように突き出し面白い顔をして見せるが、当のネジは眉間にしわを寄せキッと凄んで睨みきかせてくる。
「あ、あの、ネジ兄さん……、そんなに、睨まなくても……。面白い顔じゃなくて、怖いです……」
ヒナタは、ネジの機嫌を損ねてしまった気がして内心焦る。
「あぁ、すみません。──にらめっことは、その名の通り互いに睨み合うものではないのですか?」
若干困った表情で首を傾げるネジ。
「ち、違います……! お互い面白い顔をして先に笑った方が負けなんですよ……!」
「あぁ……そうでしたっけ。忘れていました。──ところで“あっぷっぷ”って、何なんでしょうね」
「お、面白い顔をする時の、合図みたいな掛け声じゃないかな……?」
「はぁ……そうですか」
ヒナタから説明を受けてもネジは、大して気にも留めていないようだった。
「じゃ、じゃあ気を取り直してもう一度……。にーらめっこしーましょ、笑うと負けよ、あっぷっぷ!」
今度は口の中に空気をいっぱい溜めて両頬を膨らませたヒナタに対しネジは、眉は凛々しくキリッと口元は片側の口角だけ上げ決め顔になる。
「え……ネジ兄さん、それってドヤ顔ですか??」
「じ、自分の面白い顔というのがよく判らないので、とりあえず得意げな顔を──」
ヒナタはつい突っ込みを入れてしまい、せっかくの決め顔が引きつった顔になるネジ。
「いや、それよりこれは何の真似ですヒナタ様。急に子供じみたにらめっこなど……」
「いえ、その……ただ、ネジ兄さんに少しでも笑ってほしくて」
「───?」
その言葉に、ネジはどう反応していいか分からず目を伏せたところに不意打ちで、ヒナタはネジの両頬をむにゅっとつまむ。
「にゃ…ッ、にゃにをするんれふか、ヒナふぁさみゃ」
「ぷっ、ふふ……!」
「あにゃひゃぎゃわりゃっひぇ、ろうふりゅんれふ……(あなたが笑って、どうするんです)」
少々強引に両頬の口角を上げられ、口は笑っているように見えてもネジの目元は困っている。
「あ……ごめんなさい、今のは私の負けかもしれませんね」
つまんで引き伸ばしていたネジの両頬からヒナタはそっと手を放し、痛かったわけではないがネジは片頬を少しさする。
「……勝ったら何か、褒美でもあるんですか?」
「
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