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大洗女子 第64回全国大会に出場せず
れっつじょいん ばりぼーくらぶ 中編
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をかますみほ。
 生徒たちがめいめいに口を開きだしたからだ。

「ガチはやだ〜。楽しくないとね」
「いや、どーせやるなら本格的に」
「いや、とりあえず部活動再開が優先でしょ。
 多少ユルい方がいいんじゃない?」
「めざせインターハイ!」

 こうなったら百家争鳴、全然まとまりそうもない。

「では、本格的にバレーボールをやりたい人はアヒルさんチームといっしょに県大会やインターハイをめざして行くことにして、レクリエーションの人は私といっしょに体育授業の延長でいきましょう。実は私も完全に初心者だから〜」
「ふごふごふごーっ」

 みほは磯部を押さえ込んだまま、勝手に場を仕切ってしまった。
 誰かが言っていたが、今はバレー部をどんな形でもいいから復活させねばならないからだ。

「ごめんね、磯部さん。
 ここで逃げられたら困るでしょ」
「ふ・ぐ・ぐ、…… ……」
「きゃあ、ロック外すのわすれてたあ!」






「ま・だ・あ・ご・が・い・だ・い・よー」
「ごめんなさい! 磯部さん」
「みぽりん、ときどき自分がバカ力だってこと忘れてるでしょ。
 ムラカミさんみたいなあんこ型をショルダースルーでぶん投げるなんて、よほど体幹部と首の筋肉ができてないと無理だってレスリング部の主将が言ってた」

 ムラカミならイギリスではやっている女相撲の大会に出ても、いいところまで行くだろう。
 日本の女相撲なら、国際大会の代表になれるかもしれない。
 しかし、「BARどん底」で秋山殿がまた暴走していたら、サメさんチームもろとも執行部全滅ということになっていたとは、誰も気がついていない。
(手榴弾とバズーカは、室外から使いましょう)

「でも、みほさんがあんなこと言ってしまっては……」
「会長。まあ、隊長の深謀遠慮はいつものことだから。
 なにか考えがあるんでしょ?」
「そうね。えへへ」
「西住殿、えへへじゃありません!
 戦車道履修者の募集はどうするんですか?
 ご自分までバレー部に入部宣言してしまって」

 みほは組んだ手の甲にアゴを乗せ、目線を上に向けて思案顔だ。
 しばらくして秋山殿の方に向き直ると、また別な話を振る。

「戦車道履修者への特典は、どうしようかしら?」
「今年はなしですう〜。
 だって去年あれだけ大盤振る舞いしてさえ、32人しか集まらなかったのですから。
 西住殿もいやいやでしたし……」

 いや、事情が事情で黒森峰を飛びだしたみほが戦車道を取る気など初めからあろうはずがない。
 とはいえ自分の事情は別として、モノで釣ろうと考えるのが間違っているんじゃないか。
 そういうところがおじさんみたいと、みほは角谷を評している。
 そしていよいよ本題に移る。

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