もう一度
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ことはない。体幹に力を入れて少年に攻撃を食らわせる。
「ゴフッ・・・」
ここでの一撃は非常に大きかった。しぶきのように口から飛び出す血液。その瞬間、少年の肉体から放たれる輝きが弱まっていくのに皆気付いた。
「魔力が・・・尽き始めているのか?」
魔力はもちろん、体を動かすために必要な体力が底を尽き始めていた。体へ酸素が行き渡らず何度も何度も深く呼吸をする両者。
「まだだ・・・俺は・・・」
少年を中心に風が舞い起こった。その瞬間、消えかけていた少年の輝きが再熱する。
「レオン・・・さすがは俺の家族だ」
すでに限界を越えているのは誰の目から見てもわかること。それなのに、少年は諦めることを知らない。彼のポテンシャルの高さに皆が感心した。
「バカな・・・貴様のどこにそんな力が残っているんだ・・・」
相手が強くなればなるほど勝負への威力が上がっていたはずの天海も、彼のここでのさらなる成長に唖然とせざるを得ない。彼は向かってくる敵に対し、ある感情を抱いていた。
(体が震えている・・・この感覚、奴と初めて出会った時に似ている)
『やぁ、やっと会えたね、天海』
多くの血が流れる戦場。そこに一人立っている血まみれの男。そんな彼に語りかけたのは、腰元まであるような長い髪をした、少年のような人物。
(似ている・・・やはりこいつは・・・)
氷を纏いし拳が顔面に突き刺さる。強烈な一撃だった。だが、天海の体は倒れようとはしない。
「ティオス・・・お前ともう一度戦ってみたかった」
そう呟いた瞬間、彼の顔つきが変わった。追撃を食らわせようとしていたレオンも背筋が凍るほどの目をしていた。
「ハァァァァァァ!!」
これまで最小限の動きで攻撃も回避も行ってきていたはずの天海が初めて見せた戦法。闇雲にぶつかって来ているようにしか見えないそれをレオンは受け流そうと・・・
「なっ・・・」
懸命に見切ろうとしていたが、徐々に上がってくる相手の速度に押し込まれ始めた。
「マジかよテメェ・・・」
まだまだ上がっていく天海の速度にダメージを受け始めるレオン。再熱したはずの魔力が、どんどん薄れていく。
「レオン!!負けんな!!」
その叫びを聞いた瞬間、彼の脳裏にある約束が思い出される。
『俺はいつか絶対にレオンを越える。だから・・・その時は本気で俺と戦ってほしい』
生まれて初めてした約束。ここでそんなことを思い出すとはと、少年は己の未熟さを痛感した。
(今思い出す必要ねぇだろ・・・それじゃあまるで・・・)
相手の拳を掻い潜るようにカウンターを叩き込むレオン。
「俺が死ぬみたいだろうが!!」
後方へと押されながらもなおも
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