もう一度
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ことを祈るんだ」
(やべぇ・・・身体中がいてぇ・・・)
地面に亀裂が入るほどの激しいぶつかり合い。それを演じている氷の神は、なおも上がり続ける自身の速度と、激痛に襲われている節々に顔を歪ませていた。
(もう・・・自分の攻撃すら見えなくなってきた・・・なんだこれ?おもしれぇぞ)
自分の意志で体を動かしているはずなのに、目がそれを追いきれない。それどころか、次第に彼の体は自分の力で動かしているという感覚すら失われてきていた。
(痛みすら感じなくなってきた・・・これって限界が近いってことなのか?)
激しく乱れる呼吸。あまりの息苦しさに動きが止まりそうになる。だが、彼は歯を食い縛り懸命に攻撃を繰り出し続ける。
「氷神・永久凍土!!」
黒い冷気を纏った拳が天海の顔面に突き刺さる。今までどれだけの攻撃を打ち込んでも決して倒れなかった強敵。しかし、今は違う。神の領域を解放したレオンの重たすぎる拳に地面を転がると、四つん這いになり苦悶の表情を浮かべていた。
「まだ上がるのか・・・だが・・・」
口元の血痕を拭い立ち上がろうとした彼に飛び蹴りを放つ。見事に命中したそれの威力は絶大で、天海は地面にめり込んでいた。
「いい・・・そうでなくてはつまらない!!」
そう叫んだ彼はなおも輝きが増していく少年に向かっていく。まだまだ底が見えない氷の神。しかし、そんな彼も自らの魔法の代償により、時おり動きが鈍くなる時があった。
ゴッ
「ぐっ・・・」
頬に受けた痛みにより体がふらつく。倒れるのを必死に答えるが、少年の視界は徐々に狭くなってきており、敵を完全に捉えることができない。
「クソッ!!」
脳に行き渡る酸素の量が足りない。胸が苦しく筋肉の疲労も激しい。それでも彼の目は決して閉ざされることはない。
「この高揚感・・・やはりお前は・・・」
何かを言おうとしている天海の口を塞ぐように氷のつぶてを降らせる。これまでそれを避けるのは造作もなかったはずの天海も、レオンの攻撃によりダメージが蓄積してきたのか、動きが鈍く、もろにそれを食らっていた。
「くっ・・・ハァ・・・ハァ・・・」
痛みに顔を歪ませたのはほんの一瞬のみ。しかし、これまで戦うことに喜びを感じていたはずのこの男の顔に、笑顔はなくなっていた。
「悪いが、俺はここで負けるわけにはいかん」
「奇遇だな、俺もだよ」
ぶつかり合う二人の闘志。そこには笑みなど一切ない。両者の目は疲労の色を濃く映し、全身には痛々しい傷が数えきれないほど付いていた。
「レオン!!」
死闘を繰り広げる二人に嫌な予感を感じたシェリアは大切な幼馴染みの名前を叫んだ。レオン
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