もう一度
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いる。
「オババ!!どうしたんだ!?」
なぜ彼女がそんな風になっているのか訳がわからないリオンが問いかける。すると、オーバは砂を握り締めながらその理由を語り始めた。
「神の領域・・・別名“死への扉”とも言われている」
「死への・・・扉?」
不吉すぎるその名前に、話を聞いていた全ての者の顔が強張った。オーバはもう立ち上がることもできない自らの無力さを悔やみながら、話を続ける。
「通常の魔導士は体内を覆うように魔力を高めることでその力を最大限に発揮している。だが、これはロスが大きい。なんといっても体外に常に魔力が放出されている状態を自ら作っているわけだからな。
一方の神の領域はそのロスが一切ない。体内で作られる魔力を全て自らの体に留まらせているのだから。
でもなぁ・・・それゆえに大きすぎる弱点がある」
「弱点・・・ですか?」
小さくうなずくオーバ。シリルは最悪の事態が脳裏を過り、体を起こそうと痛む体にムチを打ちながら、その話に耳を傾ける。
「神の領域の最大の弱点・・・それは体温が極端に上がりやすいということだ。
人間の体温はある一定ラインを越えると、タンパク質が変性され、凝固してしまう。だが神の領域はそれだけじゃ済まない。本来なら体内に留めておくことができない大きすぎる魔力を体内に無理やり留めさせている・・・そうなれば体温の上昇は著しく、脳まで溶けてしまうと言われている」
「脳まで溶ける・・・だと?」
ただ、そこまでなってしまった人間を彼女は見たことはないという。その理由は、脳が溶けるよりも早く魔力が尽き、動くことができなくなるからだそうだ。
だがこの魔法は危険ゆえに古に忘れ去られた魔法。その存在を知るものは今ではほとんどいない・・・つまり、本当に脳が溶ける前に魔力が尽きるのかわからないのだ。
「いや・・・確かに今までは誰もその限界値までたどり着かなかったかもしれない。でも、あの子はその他大勢とは違う!!レオンの持ってる魔力なら、最悪の事態だってあり得るんだよ!!」
それがわかっているからこそ、止めたかった。ギルドのマスターとして、その危険性を唯一認識していた存在として、彼の育ての親として・・・その身を呈してでも止めなければならないのはわかっていた・・・
「なんで・・・こんな時に動かないんだい・・・」
天海の攻撃力の前にピクリとも動かない自身の体。誰かが止めようにも、他の者たちも既に満身創痍・・・動けるものなど一人もいない。
「こうなってしまっては・・・あたしらにできるのは一つだけだよ」
そう言うと彼女は両手を握り合わせた。そしてさらに輝きを増していく彼を見ながら、血が滲み出るほどに奥歯を噛み締める。
「この戦いが一秒でも早く、終わる
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