11部分:第三話 高校生と大学生その三
[1/2]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
第三話 高校生と大学生その三
「山村先生・・・・・・」
「ここにいたか阿波野」
新一君を見て言います。
「探したぞ」
「あれ、俺なんですか」
「御前以外に誰がいるんだ」
山村先生は真一君を見据えたままでした。
「ちょっと来い」
「さっきのことですか?」
それ以外にないですよね。けれど山村先生がそのまま来るなんて。
「それは終わったんじゃ」
「何が終わっとるかっ」
先生の声が怒鳴り半分になりました。
「御前はわしから逃げたんだろうが。それで追い掛けてきたんだ」
「あらら、それはまた」
「わかったら来い」
有無を言わせぬ口調です。
「いいな」
「あの、何処にですか?」
「別に殴るわけじゃない」
山村先生は案外生徒を殴ったりはしません。そりゃ怒ると怖い人なんですけれどね。
「叱るだけだ」
「結局同じじゃないですか」
「全然違うじゃない」
私は横でそう呟きました。
「っていうか制服で大学の女の子ナンパしようとしたらそりゃ」
「そう、それだ」
やっぱり山村先生もそれを言われます。わかっていましたけれど。
「それで話があるんだ。来い」
「いずれ機会をあらためて」
「馬鹿か御前は」
今の言葉は私も先生と同じことを思いました。
「そんなことができる筈がないだろう」
「やっぱりそうですか」
「わかったら来い、いいな」
「わかりました。じゃあ場所は」
「別に殴るわけでもないからな。そうだな」
「詰所の部屋なんかどうですか?」
ここで井本さんが先生に提案されました。
「空いてる部屋結構ありますし」
「いいのか?それで」
「ええ、どうぞ」
井本さんは何故か笑っています。けれど新一君を笑うような人では決してないです。それが私にはかなり不自然に思えました。内緒ですけど。
「阿波野君もそこでいいわよね」
「俺は何処でもいいですよ」
怒られるっていうのにこの態度。本当にある意味大物です。
「それじゃあ」
「ああ、来い」
ぐい、と首根っこを引っ掴まれます。先生と新一君はそんなに背が変わりはしないんですがそれでも圧倒的な差があるように見えます。
「部屋は五階が空いてますから」
「何処でもか」
「はい、何処でも」
「あっ、いいこと聞いた」
新一君は首根っこをひっつかまれて猫みたいにぶら下げられているのに全然余裕の顔で言いました。わかってるんでしょうか。わかってないですね、絶対に。
「じゃあ五階で先輩と」
「私が何!?」
「いや、何でも」
「そっから先は五階で聞く」
先生はそのまま新一君をエレベーターの方に連れて行って言われます。
「わかったな」
「じゃあそういうことで」
新一君はそのまま連れて行かれました。それから暫く私は井本さんの
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ