第三章
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「だからじゃ」
「それで、ですな」
「白砂糖をどうするか」
「それが問題ですな」
「高く買うよりはじゃ」
ここでこう言った吉宗だった。
「我等で作ってじゃ」
「そうしてですな」
「安く売って」
「そのうえで民達に楽しんでもらう」
「その様にしていきますか」
「そうするのがよいのではないのか」
こう言うのだった。
「ここは」
「では、ですな」
「白砂糖を本朝でも作られるか」
「それを考えていきますか」
「そうしようぞ、漢方の薬にもなっておるからな」
このことからも考える吉宗だった。
「やってみようぞ」
「薬として考え」
「そうして」
「皆が食することが出来るのかをな」
考え実現出来るならそうしようというのだ、吉宗は今度はそちらを進めさせた。それで諸藩にも砂糖の原料であるサトウキビを栽培させてみるとだ。
思いの他成功して特に高松藩ではよい白砂糖が出来た、その砂糖が早速吉宗に献上され彼は高松藩の者に問うた。
「これがじゃな」
「はい、和三盆といいまして」
「高松藩で作った白砂糖か」
「左様です」
「見事なものじゃな」
和菓子の様に固められ模様まで入れられたそれを見てだ、吉宗は高松藩の者に対して言った。
「白くて奇麗じゃ」
「はい、何とかです」
「白砂糖としてじゃな」
「作ってみました、それで我が殿が食したところ」
「美味でじゃな」
「是非上様にもと思いまして」
「わかった、ではな」
吉宗は高松藩の者の言葉を受けてだった、その和三盆を手に取り口の中に入れてみた。そうして味わってからだった。
高松藩の者にだ、吉宗はにこりと笑って述べた。
「実に美味い、甘いぞ」
「そう言ってくれますか」
「まことにな、ではこれからはな」
「はい、この和三盆をですな」
「広めるのじゃ」
こう言ってだ、吉宗は高松藩にその白砂糖和三盆を藩の特売のものとして広めることを許した。その他にも白砂糖を作る藩が出てだった。
天下万民が白砂糖を楽しめる様になった、それと共に吉宗はその政において米を柱とすることを忘れていなかった。
とかく米のことに心を砕いていた、するとその米からもだ。
菓子が作られる、それで米から作ったおはぎ等の菓子を食っている時にふと江戸の民達は思ったのだった。
「米からも菓子が作られるな」
「それがどうしたんだ?」
「いや、今の公方様は米にとかく心を砕いておられるだろ」
このことから話すのだった。
「それでよく米公方様って言われてるだろ」
「ああ、それな」
「米って字を砕いて八十八にしてな」
米という漢字を分けるとこの数字になる。
「八十八公方様とも呼んでるな」
「とかく米について心を砕いておられるな」
「何かと」
「それでわし等もこれ
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