第一章
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完全復讐
それは非常に惨たらしい事件であった。
そのアベックに罪はなかった、国立大学の薬学部に通う大学生だった。卒業後には結婚する約束もしていた。
「そのお話は僕も知っています」
答えた男の名前はシャーロック=ホームズという。ロンドンでは名前が知られた探偵でありチェック柄の服を着ていて口にはパイプがある。傍らには親友であり助手のワトソンが髭に手を当てて彼と同じソファーに座ってこの事件の話をする刑事の話を聞いている。
「酷い事件ですね」
「はい、まずはです」
「アベックを殺した犯人達ですね」
「その推理をお願いしたいのですが」
「それはもうここにいてもわかります」
捜査をするまでもないとだ、ホームズは刑事に淡々とした口調で答えた。
「それは」
「やはりそうですか」
「はい、どう考えてもです」
それこそという返事だった、ホームズのそれは。
「アベックを殺したのは彼等です」
「やはりそうですか」
「まずです」
ホームズは刑事に話した。
「事件の夜アベックは一緒に同じバスで帰るつもりだったのでしょう」
「仲良くですね」
「結婚を誓った者同士で」
まさにその間柄にある者同士仲睦まじく、というのだ。
「そうしたのでしょう、しかしです」
「そこにですね」
「犯人達が来たのです」
その彼等がというのだ。
「辻褄合わせのアリバイの話をした彼等が」
「あの三人組がですね」
「そうです、彼等がです」
まさにと言うホームズだった。
「泥酔してそうしてです」
「アベックに絡んでですね」
「まずは彼氏を手に持っていた酒瓶で徹底的に殴り」
「そうして殺した」
「そして彼女の方はです」
もう一人はというと。
「両手両足を担いでそのうえで」
「走って来るバスにですね」
「こうしてです」
ホームズは表情を変えず投げる動作をして刑事に答えた。
「放り投げてです」
「走って来るバスに彼女をぶつけて」
「終わりです」
「殺そうとした動機は」
「当初は彼女を襲おうとしたのでしょうが」
ホームズはこう推理をした。
「彼氏がそれを止めたので衝動的にです」
「二人を殺した」
「泥酔したので理性はなかったのでしょう、そもそもです」
その三人の話をさらにするホームズだった。
「彼等は前科がありました」
「その前科から見ますと」
「そうしたことをしそうな人物達です」
「その経歴を見ましても」
「犯罪の常習犯です、しかもそれは暴力的な犯罪です」
その前科から見てというのだ。
「そこでアルコールがかなり入り理性を失ったならば」
「ごく自然にですね」
「そうしたことをするでしょう」
「衝動的な殺人を」
「三人のアリバイはです」
彼等が
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